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■桂文楽(八代目) 明烏【十八番】

   

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[文楽十八番]

あらすじ

異常なまでにまじめ一方と近所で評判の日本橋田所町・日向屋半兵衛のせがれ時次郎。
今年十九だというに、いつも本にばかりかじりつき、女となればたとえ雌 猫でも鳥肌が立つ。
今日も今日とて、お稲荷さまの参詣で赤飯を三杯ごちそうになったととくとくと報告するものだから、おやじの嘆くまいことか。

堅いのも限 度がある、いい若い者がこれでは、跡継ぎとしてこれからの世間つき合いにも差し支えると、かねてからの計画で、町内の札付きの遊び人・源兵衛と太助を「引 率者」に頼み、一晩吉原で遊びのレッスンを受けさせることにした。

本人にはお稲荷さまのおこもりとゴマまし、お賽銭が少ないとご利益(りやく)がないか ら、向こうへ着いたらお巫女(みこ)さん方へのご祝儀は、便所に行くふりをしておまえが全部払ってしまいなさい、源兵衛も太助も札付きのワルだから、割り 前なんぞ取ったら後がこわいと、こまごま注意して送り出す。

太助のほうはもともと、お守りをさせられるのがおもしろくない。
その上、若だんながおやじに言 われたことをそっくり、「後がこわい」まで当人の目の前でしゃべってしまったからヘソを曲げるが、なんとか源兵衛がなだめすかし、三人は稲荷ならぬ吉原 へ。

いかに若だんながうぶでも、文金、赭熊(しゃごま)、立兵庫(たてひょうご)などという髪型に結った女が、バタリバタリと上草履の音をさせて廊下を通 れば、いくらなんでも女郎屋ということはわかる。
泣いてだだをこねるのを、二人が「このまま帰れば、大門(おおもん)で怪しまれて会所で留められ、二年で も三年でも帰してもらえない」と脅かし、やっと部屋に納まらせる。

若だんなの「担当」は十八になる浦里(うらさと)という絶世の美女。
「そんな初々しい若 だんななら、ワチキの方から出てみたい」という、花魁(おいらん)からのお見立てで、その晩は腕によりをかけてサービスしたので、堅い若だんなも一か所を 除いてトロトロ。

一方、源兵衛と太助はきれいさっぱり敵娼(あいかた)に振られ、ぶつくさ言いながら朝、甘納豆をヤケ食い。
若だんなの部屋に行き、そろそ ろ起きて帰ろうと言ってもなかなか寝床から出ない。
「花魁は、口では起きろ起きろと言いますが、あたしの手をぐっと押さえて……」とノロケまで聞かされて 太助、頭に血が昇り、甘納豆をつまんだまま梯子段からガラガラガラ……。

「じゃ、坊ちゃん、おまえさんは暇なからだ、ゆっくり遊んでらっしゃい。あたした ちは先に帰りますから」

「あなた方、先へ帰れるなら帰ってごらんなさい。大門で留められる」

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