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桂枝雀 阿弥陀池(新聞記事)

      2015/05/05

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『新聞記事』(しんぶんきじ)・『阿弥陀池』(あみだいけ・あみだがいけ)は古典落語の演目の一つ。
もともとは明治40年(1907年)ころに上方の桂文屋が作った上方落語の演目で、桂文屋が創作した当時は『新作和光寺』の題で演じていた。
後に再演した初代桂春團治が、現在のギャグの多くを取り入れ十八番とし、以降、『阿弥陀池』として現在のスタンダードな演じ方に変わった。

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昭和初期に初代昔々亭桃太郎が改作した上で東京に移植した。
初演は1906年4月8日の『桂派落語矯風会』。
主な演者は上方では、3代目桂米朝や2代目桂枝雀、桂坊枝、3代目桂歌之助など。
東京では、4代目柳亭痴楽や3代目三遊亭圓歌などがいる。

あらすじ

アホが隠居の甚兵衛はんに「新聞読みや。」と諭される。
「何でだすねん。」
「ええ若いもんが、新聞読まな。この前も『号外や』いうてんの『妨害や!妨害や!』て云うてたやろ。・・・三十五にもなってからに。」
「だれが三十五だす。」
「三十五ちゃうのかいな。」
「何云うてなはんねん。三十八やがな。」
「よけいアホや。」

「そんなもン。わたい新聞読まいでも世ン中のこと知ってるわ。」とアホが意地を張るので、
「ほんなら、お前和光寺知ってるか。」
「知りまへん。」
「ほれ、この前松島の帰り夜店ひやかしたやろ。」
「ああ、それやったら堀江の阿弥陀池ちゃいますか。」
「そうや。ホンマの名は和光寺、阿弥陀池は境内にある池の名前で、尼寺や。」
「尼寺て何でやす。」
「女の坊ンさんを尼さんという。その尼さんがいなさるよって尼寺じゃ。」
「ははあ。ほたら男の坊ンさんは西宮か。」
「これ、神戸行きの電車乗ってンのやないで。…その和光寺にこの前、賊が入ったの知ってるか。」
「へ!? わたいそんなん知りまへんがな。」
「ほら見て見イ。新聞にちゃんと書いたある。せやから、新聞読まなあかんのや。」と話をし出す。

和光寺のいる戦争未亡人の尼さん。ある晩に忍んで来た泥棒が「金を出せ」とピストルを突きつけるが、落ち着き払った尼さんが言うには、「過ぎし日露の戦いに、私の夫・山本大尉は乳の下、心臓を一発のもと撃ち抜かれて名誉の戦死を遂げられた。同じ死ぬなら夫とおんなじ所を撃たれて死にたい。さぁ、誤(あやま)たずここを撃て。」(桂文屋が創作した時期が日露戦争の後であり、実際に未亡人も多かった。)
「それを聞いたこの泥棒、三尺下がって平伏したんや。」
「あはあ。座敷臭かったやろ。」
「何じゃそれ。」
「三尺下がって屁エこいた。」
「何云うとるねん。『私はかつて山本大尉の部下で、山本大尉は命の恩人とも言うべき人、その恩人の奥さんのところへピストルを持って忍び込むとは無礼の段、平に御免…』ピストル己の胸に当てて、うつとこを、尼さんその手を押さえ『おまえが来たのも仏教の輪廻。誰かが行けと教えたのであろう。』『へぇ、阿弥陀が行けと言いました。』」

「もし、それ何でんねん。」
「これは、噺家がしゃべっていたんや。(初代春團治は「曽我廼家の喜劇や」と演じていた)」
「もし、あんじょう言うてエな。」
「せやから、新聞読まなあかんのじゃ。こうして騙されるねん。もし、あんた嘘言うたらあかん。そんなこと新聞に載ってまへんがな。と言えるやろが。」
と、こんな調子で、尼寺がある場所と説明された、阿弥陀池のほとりと掛けたにわか話(俄)で騙されてしまう。
その後も、『米屋が…』という東京版と同じようなにわかに騙されてしまう(ちなみに、こちらで使われるオチは、「『首を切り落として、糠の詰まった箱にポィ!』この話、聞いたか?」「聞いてない」「聞かんはずじゃ。『糠に首』や!〔効かんはずじゃ。糠に釘〕」という駄洒落)。
気が収まらない男、だれぞ「糠に首」で引っ掛けてやろうと知り合いの家に乗り込んでいく。だが、しどろもどろで一向にうまくいかない。
「おやっさん。盗人に馬乗りなって、縄かけようとしたんやが、・・・」絶句してしまう。
「おい。どないしたんや。」
「せやから、云うがな。」
「何をいな。」
「それ、その、……こう……なあ?」
「名、何やねん。」
「いや、生麩は焼き腑の元。」
「何を!」
「生煮えは半煮えのもと……」
「これ!それも云うなら『生兵法は大怪我の元』とちゃうんかいな。」
「アッハ!その元!味の素!」
「ンな、あほな。」
と、言葉が思い出せず、とんちんかんなやりとりになってしまう。(このあたり、初代桂春團治のレコード音源では、まさにギャグの機関銃の様相を呈しており、現在も春團治の演出によっている。)
「賊がなあ。おやっさんのシンネコついたんや。」
「なんやねん。そのシンネコて。」
「いや…そやあらへん。シントラでもなし、シンサルでもなし…ああ。お前、鼻の長いの知ってるか。」
「何じゃイ。藪から棒に。鼻の長いのなら天狗さんじゃろ。」
「シンテング…こら、ちゃうわ。いいえな。それ、もっと、あの動物園におる。」
「あんじょう物言え。そら、象やろが。」
「ああ。そうそう。シンゾウ。心臓。オオシンゾ。(おお、しんど)」
「な、あほなこと言いなや。」
その後も、話の中で十三や西宮へ行ったり、盗人に夜這いに行ったりと散々だったが、ようよう話の最後までくると、自分が騙されたのと同じように、
「この話、聞いたか?」と聞く。
ここで「いや聞かん」と返してくれれば、「聞かんはずじゃ。糠に首。」と引っ掛けることができたのだが、実際には
「今おまえから聞いた。」と言われ、
「聞いたらいかんがな…。ほなさいなら。」と帰ってしまう。
最後の最後で「糠に首」と引っ掛けることができなかった男、「何であかんねやろ。ハハア。あいつわしと甚兵衛はんの話きいとったな。ようし、隣町の徳さんとこ行ったろ。」と、今度は隣町の友人宅にまで乗り込んでいく。今度は米屋のにわか話を何とかとちらずに語るのだが、米屋の若い衆が殺される段になると、実は、その家のかみさんが米屋の若い衆の親戚で、「田舎へ電報を打て」(「葬式を出さねば」)と物凄い騒ぎになってしまう。
「もし、ちゃう!ちゃう!嘘や!嘘やがな!」と慌てて白状すると、「何!嘘!こら喜イ公、おのれの知恵やあろまい。誰が行けっちゅうたんや?」
「あぁ、それやったら『阿弥陀が行け』と言ぅたんや」

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