古今亭志ん朝/大工調べ
あらすじ
大工の与太郎は、住んでいる長屋の家賃を滞納していたために、大家から商売道具である道具箱を「滞納分を納めるまで返さない」と取り上げられてしまった。
これでは仕事ができない。与太郎は老母を自分の稼ぎで養っており、仕事ができなければ日干しである。
見かねた大工の棟梁、大家の下へ行き、与太郎の道具箱を返してもらうよう、二人で交渉に行く。
大家は「滞納分の一両二分を納めるまで返さない」、棟梁は「あとから納めるから今すぐ返してもらいたい」、話は平行線である。
ついにぶち切れた棟梁、大家の悪口を大家がこの長屋に流れ着いた時点から激しい口調で論じ始めた。与太郎も便乗するが、まったく迫力がない。
挙句の果てに喧嘩相手の大家にお祝いを言う始末。ここまでが大工調べの”上”であり、ここで噺を切り上げる噺家も居る。以降が大工調べの”下”となる。
これでは解決できない。本来町役人の立会いの下、町方で示談とするべきところ、南町奉行所にこの裁定は持ち越しとなった。
結果、「大家に対して家賃を払わないのは無礼」として棟梁は大家に不足分を支払い、「もう一度集まるように」と命じられ、解散となった。
翌日、奉行は大家に「質株を持っているか」と問う。持っていないと答えると、「質株持たずして道具箱を取り上げるは無礼」として即刻与太郎に返すよう命じ、同時に違法に道具箱を留め置いた20日分の大工の手間賃銀200匁(金に換算して三両三分三朱)を払うよう命じた。
これにて一件落着、みな帰ろうとすると奉行は棟梁を呼びつけた。 「一両二分のかたに200匁とは、ちと儲かったな。さすが大工は棟梁(細工はりゅうりゅう)、」 「へえ、調べ(仕上げ)をごろうじろ(ご覧じろ)」
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