春風亭柳枝(八代目)五月幟(ごがつのぼり)
2022/05/01
ぐうたらで酒飲みの熊公のことを案じたのが、おじでした。
せがれの初節句で武者人形でも買ってやれと金を置いていきます。
「おまえさんが買いに行ったら、酒代に化けちまうよ」とカミサンが止めますが、
「息子のためだ、金輪際飲まねえよ」と熊さんは威勢よく啖呵をきり、出かけます。
歩いていますと、仲間内が声を掛けます。
「熊さん、いいところで会ったよ、喧嘩の手打ちで今飲んでるところだ、一杯飲んでいきなよ」
そう言われれば、酒飲みの熊さんのことですから、断ることができません。一杯が二杯、二杯が三杯となるうちに気が大きくなります。
「あれ、こんなところに紙入れ(財布)が入ってら、今日はおごりだ、この金、使ってくんな」
武者人形のことなど、けろりと忘れています。出来上がって家に帰ってきますと、早速カミサンから咎(とが)めらられます。
「おじさんが何を買ったか見に来るって言ってたよ。ほんとに困った人だよ」
おっつけやってきたのが、おじさんでした。
「熊っ、どこに置いてるんだ?」
ここから熊さんの出まかせが始まります。
「今、酒で顔が赤いから金太郎だ。やがて醒めりゃあ鍾馗(しょうき)さまだ。おいらを蒲団に巻けば粽(ちまき)だ」
さすがに、おじも腹が立ち、バカヤローと大声で叱りつけます。
「落ち」
「ありがとうよ、今のは大きな鯉(声)だ」
[出典:http://ameblo.jp/s-kishodo/entry-11954891808.html]
豆知識
五月幟(ごがつのぼり、さつきのぼり)とは、男児が生まれたことを天の神に告げその守護を願い、両家の家紋を入れ立てられる空高く幟。
その幟を五月晴れの空に向けて立てる事から五月幟または、武者絵幟、節句幟と呼ばれる。
裏筒描き
五月幟の図柄には、鯉の滝昇り、牛若丸と弁慶、日本武尊(ヤマトタケル)賤ヶ嶽七本槍、七福神、宇治川、富士の巻き狩り、川中島、竜虎、太閤加藤、錘馗(ショウキ)幟などがある。
また戦時中は、肉弾三勇士、日清日露などを描いた図柄も用いられた。
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