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古今亭志ん生(五代目)後生鰻

   

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あらすじ

さる大家の主人、すでにせがれに家督を譲って隠居の身だが、これが大変な信心家で、殺生(せっしょう)が大嫌い。
夏場に蚊が刺していても、つぶさずに、必死にかゆいのを我慢しているほど。
ある日、浅草の観音さまへお参りに行った帰りがけ、天王橋(てんのうばし)のたもとに来かかると、ちょうどそこの鰻屋のおやじが蒲焼きをこしらえようと、ぬるりぬるりと逃げる鰻と格闘中。

隠居、早速、義憤を感じて、鰻の助命交渉を開始する。
「あたしの目の黒いうちは、一匹の鰻も殺させない」
「それじゃあ、ウチがつぶれちまう」と、すったもんだの末、二円で買い取って、前の川にボチャーン。
「あー、いい功徳(くどく)をした」

翌日、また同じ鰻屋で、同じように二円。ボチャーン。
「あー、いい功徳をした」

その翌日はスッポンで、今度は八円とふっかけられたが、
「生き物の命はおアシには換えられない、買いましょう」
「ようがす」というわけで、またボチャーン。
これが毎日で、喜んだのは鰻屋。

なにしろ隠居さえ現れれば、仕事もしないで確実に日銭が転がり込むんだから、たちまち左うちわ。
仲間もうらやんで、
「おい、おめえ、いい隠居つかめえたな。どうでえ、あの隠居付きでおめえの家ィ買おうじゃねえか」
などという連中も、出る始末。
ところがそのうち、当の隠居がぱったりと来なくなった。

少しふっかけ過ぎて、ほかの鰻屋にまわったんじゃないかと、女房と心配しているところへ、久しぶりに向こうから「福の神」。
「ちょっとやせたんじゃないかい」
「患ってたんだよ。ああいうのは、いつくたばちまうかしれねえ。今のうちに、ふんだくっとこう」
ところが、毎日毎日隠居を当てにしていたもんだから、商売は開店休業。

肝心の鰻もスッポンも、一匹も仕入れていない。
「生きてるもんじゃなきゃ、しょうがねえ。あの金魚……ネズミ……しょうがねえな、もう来ちゃうよ。うん、じゃ、赤ん坊」

生きているものならいいだろうと、赤ん坊を裸にして、割き台の上に乗っけた。
驚いたのは隠居。
「おいおい、その赤ちゃん、どうすんだ」
「へえ、蒲焼きにするんで」
「馬鹿野郎。なんてことをしやがる。これ、いくらだ」

隠居、生き物の命にゃ換えられないと、赤ん坊を百円で買い取り、前の川にボチャーン。
「あー、いい功徳をした」

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 - 古今亭志ん生(五代目)

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