桂小南(二代目)いかけや
あらすじ
道端で火を起こして頼まれた修理を行っていた)が、道端で火を起こして店を出そうとするところに、近所の悪ガキ連中が「いかけ屋のオッタ~ン」と奇声をあげてやってくる。
(※鋳掛屋・いかけ屋(壊れた鍋釜を修理する、リサイクル業者のこと)
「ほおら、きやがった。ここいらのガキはどないしょうもない」と、いかけ屋は気が気ではない。
案の定、子供たちはいかけ屋を取り囲み、「おったん。えらい御精が出まんな」
「そのプウプウ火起こしてンのはどういう目的じゃ」
「オッタン、あんさん細君ごわすか」
と次々と下らない質問してきては、いかけ屋の反応を楽しんでいる。
「どうぞ、たのむからあっち行ってくれ。おっちゃん、仕事でけへん」と言っても去るどころか、ますます調子に乗ってなぶりにかかる。
そこへ悪ガキの大将と称するのが来て「こら、おやじ!」。
これには、さすがにいかけ屋も切れて「おやじ?! 言い方気イつけよ。もっとおっちゃんとか、オッタンとか可愛らしゅう言えんのか。アホンダラ」とやり込めるが、「何ぬかしやがんねん。このヘタ」と平気なものである。
「ヘタ!? 人間に真中やヘタがあってたまるかい。
何の用やねん」——聞けば石ほじくるさかい金槌貸せという。
「アホンダラ。そんなものに貸せるかい。貸すから、家帰って、おのれの鍋や釜に穴開けて来い!」「そんなことしたら、おっ母さんこわいがな」
「何言うか。それくらいのことできんで、一人前の悪さになれるかい。おっちゃん、おまえらのころ、よう鍋釜、ボーン、ボーン金槌でいわして穴開けとったわい」
「ははあ、そンで大きゅうなって直しに回ってんのやな」と完全に一本取られる。
「貸せ。貸せ言うとんのじゃい。貸さんかったら火イ消すぞ」
「おっちゃんが苦労しておこした火どう消すねん」
「…へへへ。小便で消したろか」
「何。やれるもんならやってみ」
「ああ。何でもないこっちゃ。おい、市松ちゃんに、虎ちゃんに、みな来い。みな来い」
ジャジャージャアジャア。
「あああ…ホンマに消しよった! … こらあ~」いかけ屋の嘆きをあとに悪ガキたちは次の標的、うなぎ屋をめざして駆けて行くのであった。
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