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三遊亭金馬(三代目) 片棒

   

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片棒(かたぼう)は古典落語の演目の一つ。
原話は宝永2年(1705年)に出版された、「軽口あられ酒」の一編である『気ままな親仁』。
主な演者として、3代目三遊亭金馬や9代目桂文治などがいる。

あらすじ

導入部
コク町三丁目に店を構える赤螺屋(あかにしや)ケチ兵衛という人。
名前のとおりのけち振りと、なく子も黙る辣腕ぶりで財を成した大金持ちだが、寄る年波には勝てずそろそろ誰かに身代を譲らなくてはと考え始める。
彼には三人の息子がいるのだが、今のままでは三人の料簡がわからず、誰に譲ったらいいか迷ってしまった。

そこで、店の番頭を呼び出し、誰に相続させたらいいか相談するとこんなアドバイスが帰ってくる。
「でしたら、このお店の一大事に、若旦那方三人がどのようなお金の使い方をするか聞いてみたらどうでしょうか?」
感心したケチ兵衛は、早速三人の息子を呼び出し『仮に、もし私が明日にでも目をつむったら、後の始末はどうするつもりか一人ずつ聞かせてもらいたい』と質問した…。

長男・松太郎の場合
「そうですねぇ。『この途方もない身代が、あんな葬式しか出せないのか』と後ろ指を刺されるのはシャクですから、オーソドックスながらも立派な葬式を出したいと思います。まずお通夜ですが、この身代ですから弔問客もかなりのものになりましょう。

ですから、通夜は二晩行います。お寺もわが菩提寺では小さいですから本願寺あたりをレンタルいたしまして、何人来ても大丈夫なようにいたします。
棺がお寺に到着するのは、だいたいお昼過ぎになるでしょうから、お昼ごはんを用意するのが妥当でしょう。黒塗り金蒔絵の重箱に、一段目は練り物、二段目は煮物とか焼き物、三段目らはご飯を仕込んだ三つ重ねで、丹後縮緬なんかで作った特注の風呂敷で包みます。

お酒をおのみになる方もいるでしょうから、灘の生一本を勧進よりのついた徳利なんか入れて用意しておきます。
あ、料理をお食べにならないご婦人方のために、特注のお弁当を用意いたしまして、そこにタクシー代なんかも入れておきましょう。
黒筋のついた封筒に三万円ばかり入れまして、【御お車代 赤螺屋】。お香典返しにはダイヤモンドを60キロ…」

ケチ兵衛、ショック死寸前。その上、一人当たりの費用と会葬者の人数を聞くと
「三万人ばかり呼びまして、一人当たり600万円」
「馬鹿ヤロウ!! とっとと消えろ!! 私はな、お前が死ぬまで決してあの世には行かないからな…」

次男・竹次郎の場合
「普通に葬式やったのでは面白くありません。いっそのこと新機軸の、エレガントで弔いの歴史に残るような葬式をいたします。」
「え、エレ…?」
「お父さんがお亡くなりになったら、まず近所の方に頼んで町内中に紅白の幕を張り巡らしていただきます。
会葬の一番手はたいてい黒紋付に羽織ですが、これは面白くありません。私が用意するのはかしら連中に頼んで行う『木遣り』です。赤い筋の入った長襦袢に扇子をもって”エンヤーラ”なんてね。

その後に出てくるのは芸者連中の『手古舞』。男まげに提灯と金棒を持って”シャラーン…コローン”、綺麗でしょうねぇ。
その後には民謡なんかどうでしょうか。山形の『花笠音頭』で”めでた めでたの”…ちょっとまずかったかな。
その後には山車が参ります、京都の人形師に依頼して造った、お父さんそっくりの生き人形をすえた山車です。手に算盤を持って、宙をにらみつけるポーズなんかいいかな。

当然、山車には囃子がつき物ですから神田囃子の名人あたりに声をかけておきましょう。まず『”屋台”の打ち込み』、”テンテンテンスケ、スケテンテン”。その後『昇殿』から『鎌倉』、”オ ヒャイ トーロ”、山車の人形がからくり仕掛けで動きます。
この後にやってくるのがお神輿、中にはお父さんの遺骨が入っています。

これを担ぐのは町内の若い衆、そろいの浴衣で足並みそろい”ワッショ ワッショ ワーイ” 囃子のほうも変わってきます。
この一行が町外れに到着すると、待ち構えていた花火屋が、万感の思いをこめて大筒に火を。”シュ~ ドーン”、『あがったあがった、赤螺屋!!』。

お父さんの位牌をぶら下げた落下傘が、風に乗ってフワフワフワフワ。
ここで拍子木がチョーンと入って、親類代表の弔辞が始まります。
【弔辞 盛者必滅 会者定離 とは言いながら、誰が天寿の長からん事を請い、また願わざる者もあらんや。ここに、コク町三丁目・赤螺屋ケチ兵衛君。平素粗食に甘んじ、倹約のみを旨とし、ただただ預金額の増加を唯一の娯楽となしおられしが、ついに栄養不良の結果、あの世の客となり、今また山車の人形となる。アァ、人生面白きかな、また愉快なり】
一同そろってバンザーイ」
「この野郎、七生まで勘当だっ!! 」

三男・梅三郎の場合
「死ぬとは『無に帰す』ことですし、どう転んでもすべて燃えちまうんですからお葬式は質素に、極限まで簡素にして行います。
死骸は鳥につつかせて自然消滅。これが一番」
「お…おい…」
「とは行きませんから、とりあえずお通夜を出しましょう。
出棺は11時と知らせておいて…本当は8時に出してしまえば会葬者の食事はいらないし、持ってきた香典だけこっちのものにすることができます。早桶は菜漬けの樽で十分。
抹香はかんな屑で代用し、樽には荒縄を掛けて天秤棒で差しにないにします。
運ぶには人手が必要…ですが、これだとお金がかかりますから片棒は僕が担ぎます。
でも、僕一人では担げませんから、やっぱり一人は雇ったほうが…」
「なに、心配するな。片棒は私が出て担ぐ」

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 - 三遊亭金馬(三代目)

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