★桂枝雀(二代目)口入屋(口入れ屋)
2022/08/06
口入屋(くちいれや)は、上方落語の演目の一つ。
東京でも「引越の夢」という題で演じられる。
原話は、寛政元年(1789年)に出版された「御祓川」の一編である「壬生の開帳」。
あらすじ
船場にあるとある大店に、口入屋(現在の職業紹介所)から絶世の美女が女中奉公にやってくる。
この店には若い者が多いため、間違いが起きぬようにと言う店の方針で、今まで来ていたのは変な顔の女中ばかり。
とうとう堪え切れなくなった一番番頭が、女中を頼みにいく役を仰せつかっている丁稚の定吉を買収し、美女が来るように仕組んだのだ。
さて、絶世の美女がやってきたおかげで店中が大興奮。
特に張り切った一番番頭の手回しでその日は早仕舞になる。
その夜、みんなが寝静まったのをみはからい、二番番頭が起きだして下女部屋に忍び込もうとした。
ところが、そんな事態を想定していたおかみさんの一存で梯子は二階に引き上げられている。
困った彼は、一階と二階を貫いている膳棚を梯子代わりにすることを思いついたが、壊れていたのか手をかけた途端に棚が崩れ落ち、二番番頭は棚を肩で支える羽目になってしまった。
しばらくして、今度は一番番頭が起きだしてくる。
やはり梯子が無いため膳棚を足掛かりにしようとし、二番番頭と同様に棚を担ぐ羽目になってしまった。
またしばらくして、今度は手代が起きだしてくる。
梯子が無いのを確認した彼は、天窓のひもを伝って二階へ上がっていくことを思いついたが、彼がぶら下がった途端に紐が切れ、手代は井戸の中へ落ちてしまった。
三者三様で困っていると、騒ぎを聞きつけたおかみさんが灯りを持ってやってくる。
困った二人の番頭は、棚を担いだままタヌキ寝入りをすることに…。
「あらあら、何をやっているの?」「引っ越しの夢を見ておりました…」
概要
上方落語の大ネタ。
口入屋で定吉が暴走する序盤や、女中の素性をおかみが質問する中盤。
夜這いが失敗し、立ったままいびきをかく羽目になる終盤など見所・聴きどころが多い。
原話は、褌一丁で棚を担ぐ羽目となった二人組をみつけ、おかみが「薬屋の看板みたい」と嫌味を言う物で、当時の看板が薬名を書いたものを裸の男が二人で担いでいるデザインだったことに由来している。
近年ではそのオチがわかりにくくなったため、「引っ越しの夢を見ていた」と言い訳をする形に変わった。
ちなみに、夜這いをみつかって変な言い訳をする件は、『東海道中膝栗毛』等にも見られている。
なお、東京での題が「引越の夢」となっているのは、東京では口入屋でのやり取りが入らない(従って美人の女中が奉公に上がるのは全くの偶然)ためである。
[PR]
こちらの演目もどうぞ
関連記事
-
-
★桂枝雀(二代目)いらちの愛宕詣り
いらちの愛宕詣り(いらちのあたごまいり)は上方落語の演目の一つ。 東京に移植され …
-
-
★桂枝雀(二代目)代書屋
四代目桂米團治作:「代書」/別名「代書屋」 昭和10年代、大阪市東成区今里の自宅 …
-
-
★桂枝雀(二代目)ロボットしずかちゃん(英語:ROBOT SHIZUKA-CHAN)
落語「ROBOT SHIZUKA-CHAN」 『ロボットしずかちゃん』は小佐田定 …
-
-
★桂枝雀(二代目)スビバセンおじさん
ショートショートで、おじさんへの質問とその答えでなる。 おじさんは雲を食べるとい …
-
-
★桂枝雀(二代目)貧乏神
【落語】桂枝雀「貧乏神」 落語「貧乏神」 とんでもない男がおりましてな、何べんも …
-
-
★桂枝雀(二代目)首提灯
『落語』 桂枝雀 「首提灯」 首提灯(くびぢょうちん)は古典落語の演目の一つ。 …
-
-
★桂枝雀(二代目)あくびの稽古(あくび指南)
『あくび指南』とは古典落語の演目の一つである。主な噺家は柳家小せんなどがいる。
-
-
★桂枝雀(二代目)義眼
大人のニコニコ落語 「義眼」 桂枝雀
-
-
★桂枝雀(二代目)軒づけ
軒づけ 米朝・枝雀によるメドレー落語 あらすじ 根っからの浄瑠璃好きな男が、浚い …
-
-
★桂枝雀(二代目)蔵丁稚(四段目)
忠臣蔵特集 落語 「蔵丁稚」 桂枝雀 江戸と上方の共演落語『蔵丁稚』 『四段目』 …
- PREV
- ★桂枝雀(二代目)義眼
- NEXT
- ★柳家権太楼(初代)若旦那