金原亭馬生(十代目)目黒のさんま
あらすじ
秋の遠乗りで、中目黒に出掛けた大名が、百姓家から立ち上る煙に、あの匂いは何かと尋ねる。
さんまという下衆魚で下衆下民が食す魚だと答えるが、苦しゅうない持参致せと。
さんまに粗塩をかけて、農家の熾火の中に放り込んで丸ごと焼いたさんまで、荒っぽい料理だが、野駆けで空腹のところへ脂の乗った走りのさんまだから、不味いはずがない。
一箸付けては代りを持て、一箸付けては代りを持てと五、六本食べてしまった。
目黒で食べたさんまの味が忘れられないが、普段の食事では出されることはない。
あるとき、親戚筋から招待された折り、さんまを希望した。
料理方が早馬で魚河岸に走り、房州のさんまを仕込んで、三枚におろし、油が強いからと蒸して、粉を入れてつみれにし、椀ものにしたてて更に餡掛にした。
殿様が一口食べると不味い。
「このさんまは何処の産か?」
房州だと聞くと、
「それがいかん、さんまは目黒に限る」
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