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■古今亭志ん生(五代目)おかめ団子

   

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江戸時代飯倉片町におかめ団子という団子屋さんが有った。この店の一人娘にお亀さんという絶世の美女がいた。唐土の楊貴妃はなんのその普賢菩薩の再来か、今朝御前お昼御前は今済んだ、と言うほどの美女。この看板娘が帳場に座っているので、お客は切れなかった。

この日は風が強くて客足が途絶えがちになっていた。その為、早仕舞になった。そこに汚い手ぬぐいをほっかむりした肌の白い優しい男が店先に立った。盲縞の筒袖に浅葱のネギのかっれ葉のような股引をはいて、素足にワラジ履きの大根(だいこ)屋が団子を所望したが早仕舞で売れないと追い返した。それを聞いた旦那が大根屋を呼び戻し自ら団子を作って渡した。「寝たきりになった母親におかめ団子を買って帰ると、とっても喜ぶのです」、「それは親孝行で良い。そうですか中目黒にお住まいですか」。
敷紙を出して、店が仕舞い(終わり)なので売り上げを、その上に開けた。今日は13貫ばかりですが、普段は3倍ほど有と言われ、ジッと見つめる大根屋であった。

家に帰った大根屋は母親に団子を勧めて、硬い布団に寝かせておいて悪いと身体をさすっている内に、子供のように寝入ってしまった。大根の稼ぎでは布団は買えない、あの団子屋の13貫があれば・・・。何を思ったか、ほっかむりをして、風が吹く町に出て行った。

おかめ団子の裏に駆け出して来た。泥棒の仕方も分からないし、お月さんも見ている。庭の切り戸が風で煽られているので、中に入って植え込みの中にしゃがんで、どこから入ったら良いのか考えていた。その時、縁側の雨戸がスッーと開いて、一人娘のお亀さんが、文金高島田も崩れ緋縮緬のしごきを胸高に締めて、庭をボーッと見ていた。意を決したようにパタパタと庭に下りて松の枝にしごきを掛けて首をその中に・・・。ビックリして正直大根屋は止めに入って、「誰か来ないか。誰か~」と、大声で怒鳴った。店の中では泥棒が入ったと思って店の者みんなを起こし、主人が縁側に出てみるとお亀さんが一大事。泥棒では無いからと店の者には見せず、部屋に戻した。
翌日婚礼を控えて気が進まない話なのでこの有様。よく見ると助けた男は大根屋と分かり、「どうして、ここに?」、「通りかかったもんで」、「ここは家の庭だよ」。大根屋は正直に長患いの母親のこと、布団を買ってやりたいが、自分の稼ぎでは出来ないこと。それで、団子屋さんにさっきの売り上げ13貫の泥棒に来たと全部白状した。
「人の物を盗んで布団を買ってもおっ母さんは喜ばない。それより、礼はちゃんとするよ」と、手文庫から5両を差し出した。「そんな大金。13貫で良いんです」、「多くてもイイだろ」。
「ところで、頼みがあるんだが、お前さん家の養子にならないかい。帰っておっ母さんに相談しな。そして、おっ母さんを引き取って店の裏の隠居所に入ったら良い。話をして、明日の昼前に来なさい。お亀と3人でお昼を食べに行こう」。お亀に聞いても異存は無いという。5両持たせて帰した。

男っぷりも良いし、正直者だから養子に入ってくれれば、3人共助かる。奥様は「もう、私たちも安泰に暮らせると思うよ」、「どうして我々を楽にしてくれると思う」、
「解るじゃ無いですか、大根屋さんだから、香々(孝行)でしょう」。

[出典:落語の舞台を歩く]

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