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■桂枝雀(二代目)皿屋敷(お菊の皿)

   

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あらすじ

播州赤穂城下の怪奇譚に、有名な皿屋敷というのがあった。
その昔、青山鉄山という藩士が、女中のお菊という絶世の美女を我が物にしようと口説いたが、お菊は三平という夫のある身。

貞節な女なので、いかに主人の命とはいえ、どうしてもなびかない。
そこで鉄山、かわいさあまって憎さが百倍。

お菊が預かっていた家宝の皿十枚のうち、一枚をわざと隠し、客があるから皿を出して数えてみろと、言いつけた。
何も知らないお菊、何度数え直しても九枚しかないので、真っ青になってぶるぶる震えるのを、鉄山サディスティックにうち眺め、
「おのれ、憎っくき奴。家代々の重宝の皿を紛失なすとは、もはや勘弁相ならん、そちが盗んだに相違いない。きりきり白状いたせ」
さんざん責めさいなんだ挙げ句、手討ちにして死骸を井戸にドボーン。

「ざまあみゃあがれ」

それ以来、毎晩、井戸からお菊の亡霊が出て、恨めしそうな声で「一枚、にまああい」と、風邪を引いた歌右衛門のような不気味な声で九枚まで数え終わると「ヒヒヒヒヒ」と笑うから、鉄山は悪事の報いか、ノイローゼが高じてとうとう狂い死にし、家は絶えたという。

今なお、その幽霊が出るという評判なので、退屈しのぎに見物に行こうという罰当たりな連中が続出し、毎晩井戸の周りは花見さながら、押すな押すなの大盛況。
ホットドッグ屋や焼きソバ屋、缶ビールの売り子まで出る始末。

いよいよ丑三ツ時、お菊が登場して、「いちまーい、にまーい……」数えはじめると、「音羽屋ァ」「お菊ちゃん、こっち向いて」と、まあ、うるさいこと。

お菊もすっかりその気になり、常連には、「まあ、だんな、その節はどうも」と、あいきょうを振りまきながら、張り切って勤めるので、人気はいや増すばかり。

ところがある晩。
いつもの通り「いちまあい、にいまああい」と数えだしたはいいが、
「くまああい、じゅうまああい、じゅういちまあい」

……とうとう十八枚までいった。

「おいおい、お菊ちゃん。皿は九枚で終わりじゃねえのか?」

「明日休むから、その分数えとくのさ」

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