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■古今亭志ん朝 大山詣り

   

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あらすじ

現在、登山はスポーツやレジャーですが、当時は神信心で登っていた。講中があって富士山なら富士講、大山なら大山講が組織されていて、その講のリーダーが先達さんと言われ、山案内をした。
当日は七つ立ち(午前4時)で、先達さんの家に集まった。「決め式を守ってくださいよ。腹を立てたやつは二分(1両の1/2)払い、暴れたやつは坊主だから。」と言う事で出発した。

この決め式が効いたのか、道中間違いなくお山も済ませて、神奈川宿は大米屋さんという宿に入った。仲間の講から酒の差入れがあったので、先達さんが足して5升の酒を仲間に振る舞った。先達さんは若い者だけにしてあげるからと、早々に隣の旅籠に行ってしまった。
酒が入った熊さんが、湯船に乱暴に入ってきた。熊が放った屁が仲間の鼻先で破裂した。それを吸い込んでしまったので、喧嘩が始まった。「俺は腹を立てたから、二分払うが、熊は暴れたので坊主にする」と息巻いたが、若者頭に止められた。しかし、酔っているので収まらない。熊を探すと酒と風呂で酔いが回って大の字になって酔いつぶれていた。
仲間二人で熊の頭を坊主にしてしまった。

翌朝は早立ち、お膳を一つごまかして、熊を置いて出掛けてしまった。
女中さんに起こされ、始めて坊主になってしまった、自分を認めたが後の祭り。通し駕籠を雇って一足お先に江戸へ戻ってきた。

熊の女房に、山に行った連中のおかみさん全員集めさせた。
「今年のお山は素晴らしかった。帰り道、金沢八景に回って舟に乗る事になった。気が進まなかったが『残る』とも言えずに舟に乗った。船頭が『天気がおかしいので、またの日になさい』と言ったが、江戸っ子だからと舟を出した。烏帽子岩を回るときは解らなかったが、その先にポツリと雲が湧いて、見る見るうちに真っ暗になってしまった。ポツリポツリと雨が降ってきたが、間もなく前後も、雨も海も解らないくらいの雨になった。『キャ-キャ~』言っていると、 突風も加わって、舟がひっくり返ってしまった。

間もなくして気が付くと誰一人知るものが居ない。『船が沈んで浜に打ち上げられたのはアンタ一人だ』と言われたときは、海に飛び込んで死んでしまおうと思った。しかし『お前さんが死んだら、誰がこの事を知らせるんだ』と言われて、ハズカシながら江戸に戻ってきた。この先、いくら待ってもアンタ達のご亭主は帰っては来ませんよ」。

若いおかみさん達は「ワァーワー」泣き出した。「みなさん、熊さんをなんて呼んでるんだい。ほら熊、千三つの熊、チャラ熊と呼ばれてるんだよ。ウソに決まっているだろう。」、「先達さんのおかみさん、そう呼ばれているが『生き死に』の冗談は言わない。皆さんの菩提を弔うために坊主になった。」と言って、頭の手ぬぐいを取って坊主頭を見せた。「見栄坊の熊さんが坊主になったのだから本当だろう。」と先達さんのおかみさんが泣き出したのでたまりません。井戸に飛び込もうとする者まで出たので「そんなに菩提を弔いたいのなら坊主になったら良い。」と騙して、全員丸坊主にしてしまった。
百万遍の大きな数珠を回しながら、南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏。

話変わって、神奈川を出た一行。川崎、早昼。大森が八つ。日イッパイに品川に入ろうという、のんびりした旅です。品川八つ山下の茶屋に腰掛けて、迎えを待っている一行であったが、だれも顔を見せない。おかしいので、考えてみると「川崎宿で追い抜いていった駕籠が温気が激しいのにタレを降ろしていた。あれはきっと熊が乗っていたのではないだろうか。」、「それでは迎えは来ないだろう。」と言う事で、江戸に向かって歩き出した。
長屋に着いてみると、線香の匂いがして、鉦の音がした。熊の家には尼さんが沢山集まっていた。「あの尼さんはお前のところのかみさんにソックリだ。」、「そんな馬鹿な事があるか。あっ!あれは俺のかみさんだよ。先達さんのかみさんもいるよ。あ~、長屋中のかみさんが居るよ。お~~ぃ、みんな来いよ~」。

「さ~ぁ、みなさん、死んで間もないから、亡者が入口当たりで騒いでいますから、しっかりお念仏を唱えてくださいよ。」、「あら、いやだ。家の人だわ。」、「誰がこんな事を。熊のやろうか。お前は決め式で坊主になったのだろう。」
「ワラジを履いている内は旅の最中だ。腹を立てたら二分ずつ出しな。」、「う~ぅ。話が出来ね~。先達さ~ぁん、来てくださいよ」。
「バカだねぇ~、家の婆さんまでが坊主になっちゃって・・・。こんな目出度い事はありませんよ。」、「とんでもない。二分を取られた上に、どこが目出度いんだ」。
「お山は無事済んで、家に帰れば、くりくり坊主。みなさんお怪我(毛が)無くてお幸せ」。

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 - 古今亭志ん朝 ,

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