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三遊亭圓生(六代目) お祭り佐七

      2015/04/27

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元久留米藩士の飯島佐七郎という浪人。
生まれついての美男子で、武芸は天神真揚流柔術の免許皆伝。

その上、頭がよく如才ないときているから、家中の女共がほおっておかず、あまりのもて方に嫉妬を買って讒言を受け、藩は追放、親父には勘当されて、今は、芝神明、め組の鳶頭・清五郎の家に転がり込んで、居候の身。

もともと火事が飯より好きで、どうせ侍として二君に仕える気はないから、火消しになろうと清五郎にたびたびせがむが、そこは元侍。

あっしが手づるをこしらえてあげるから、ちゃんと仕官なさいと言うばかりで、いっこうに色よい返事がもらえない。

ある日、鳶の若い衆と品川遊廓に乗り込んだ佐七郎、もとより金がないので仲間を帰し、居残りをし、退屈まぎれに見よう見まねで雑巾掛けをしながら、身についた早業で、そのままツーッと裸足で脱走、雑巾一本手土産に芝まで帰ってきたと得意気に報告するので、清五郎は、め組の顔にかかわると渋い顔。

だが、め組の連中は、この間、二十五人力と自慢するならず者の四紋龍という男を、この若様が牛若丸のような軽業で翻弄し、手もなくやっつけたのを見て、そのきっぷと力にぞっこん。
ぜひとも鳶にしてやっておくんなせえと頭にせっつく始末。

あれやこれやで、今はもう一日も早くめ組の纏を持ってみたい一心の佐七郎だが、相変わらず清五郎は煮え切らない。

火事でもあって一手柄立てれば、頭もその気になってくれるだろうと、一日千秋の思いで江戸中が火の海になるのを待ちわびているが、あいにくその年は火の用心が行き届き過ぎているのか、九月十月になっても、半鐘はジャンともドンとも鳴らない。

そんなある日、退屈まぎれに仲間とガラッポンと博打をしている最中、ジャンジャンジャン、鳴った鳴った鳴った。

神田の三河町辺で大火事だという。
久しぶりの働き場なので、め組の連中は殺気だち、佐七郎ももみくちゃにされて、いつしか褌一つの素っ裸。
それでも、チャンス到来とばかり飛び出そうとするが、清五郎はガンとして許さない。

そんなに火事が好きなら、今度昼間の一軒焼けか何かの、煙が真っ直ぐ立って座敷から見物できるようなのがあったら見せるが、今夜のはお成り火事といって、玄人でも用意に近づけるような代物でないのに、素人が裸で行こうなどとは飛んでもないという。

そう意見されてもガマンしきれず、たった一人取り残されて二階でウロウロしながら外をのぞいていた佐七郎、何とか脱出して、とあせるうち、いい具合に窓格子が緩んでいたのかそっくり外れたので、これを幸い、屋根に出た。

ところが下は芋を洗うような騒ぎで飛び下りられない。
しかたなく、猫のような早業でするすると屋根から屋根へと飛び移り、一番激しく燃え盛っている龍閑町の鰌屋まで来た。

ここはちょうど、め組の持ち場。
奉行以下総出役で、まるで戦場。
さすがに煙と火の粉にあおられ、真っ黒になった佐七郎だが、屋根にしがみついて頑張り通すうちにようやく火が消え、め組の消口を取ることになった。
事情を聞いて清五郎は渋い顔。

奉行は
「武士の帯刀を捨て、鳶になっての感心な働き。感服いたした」

「へえ、今度は火をのんでみせます」

めでたく奉行の取り持ちで清五郎の子分となり、後にお祭佐七として名をとどろかせた、という一席。

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 - 三遊亭圓生(六代目)

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