【落語チャンネル】ネット寄席

落語動画・音声まとめデータベース/世界に誇る日本の伝統芸能 落語ワールドをご堪能下さい

*

■柳家小さん(五代目) 御慶(ぎょけい)

      2014/06/09

Sponsored Link

この三年この方、富くじに狂いっぱなしの八五郎。
外れても外れてもあきらめるどころか、一攫千金への果てなき夢は燃えさかるばかり。

おかげで商売は放りっぱなし、おかみさんが、いくら当たりっこない夢から覚めて、まじめに働いとくれと、意見をしても、馬の耳に念仏。
もう愛想が尽きたから、これ以上富を買うのなら別れると、脅してもダメ。

はや、年の暮れが近づき、借金を申し込んでも、もう誰も貸してくれる者がいないから、富くじ代一分どころか、年を越せるだけの金もない。

そんなことは富さえ当たれば万事済むと、八五郎はむりやりかみさんの半纏をむしり取り、質屋でマゲて、千両富のくじ代をこしらえると、湯島天神へまっしぐら。

八五郎が強気なのはわけがあって、昨夜見たのが鶴がはしごの上に止まっている夢。
必至に夢解きをした結果、鶴は千年、はしごはハシゴで八四五。
だから、鶴の千八百四十五番のくじを買えば大当たり間違いなしというわけ。

途中に大道易者が出ていたので、夢のことを話して占ってもらうと、
「なるほど。それで鶴の千八百四十五とは考えたが、そこが素人の甘さだな」

「なぜ?」

「ハシゴは下るより登る方に役立つもの。八百四十五と下りてくるより、逆に五百四十八と登るのが本当だ。鶴の五百四十八番にしなさい」

なるほどと思って、興奮しながらその札を買う。
いよいよ、子供のかん高い声で当たり籤の読み上げ。

「つるのおォ、ごひゃくゥ、よんじゅう、はちばーん」

「あ、あた、あたあたあたたた……」

八五郎、腰を抜かして気絶寸前。
当たりは千両だが、すぐ受け取ると二百両差し引かれる。
来年までなんぞ待ってられるけえと、二十五両の切り餠で八百両受け取ると、宙を飛ぶように長屋へ。
聞いてかみさんは卒倒。
水をのんで息を吹き返すと

「だからあたしゃ、おまえさんに富をお買いって言った」

「うそつきゃあがれこんちくしょー」

さあ、それから大変な騒ぎ。
正月の年始回り用に、着たこともない裃と脇差しを買い込むやら、大家に家賃を二十五両たたきつけるやら。
酒屋が来て餠屋が来てまだ暮れの二十八日というのに、一足先にこの世の春。

さて、年が明けて元旦。
大家に、年始のあいさつを聞きに行くと、一番短い「御慶」を教えられたので、八五郎、裃袴に突袖をしてしゃっちょこばり、長屋中をやたら
「ギョケイ、ギョケイッ」と、どなって歩く。

仲間の半公、虎公、留公がまゆ玉を持って向こうから来るので、まとめて三人分と、
「ギョケ、ギョケ、ギョケイッ」

「なんでえ、鶏が卵産んだのかと思ったら八公か」

「てやんでえ、ギョケイッ言ったんだい」

「ああ、恵方(えほう)詣りィ行ってきた」

Sponsored Link

 - 柳家小さん(五代目) ,

[PR]

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

  関連記事

柳家小さん(五代目) 真田小僧

親父が小遣いをくれないので 「よそのおじさんが訪ねて来た話をすれば、母ちゃんから …

■柳家小さん(五代目) 長屋の花見(貧乏花見)

「貧乏花見は落語の演目。元々は上方落語の演目の一つである。江戸落語では「長屋の花 …

柳家小さん(五代目)碁泥(碁どろ)

碁泥(ごどろ)は、落語の演目の1つ。上方では「碁打盗人」と呼ぶ。 現在は主に東京 …

■柳家小さん(五代目)狸(たぬき)

狸の札・狸の鯉 ★聴き比べ ⇒ http://rakugo-channel.ts …

柳家小さん(五代目) 頓馬の使者*

山田洋次監督作 新作落語・創作落語

柳家小さん(五代目) 藪医者

はやらない藪医者先生。 あまりにも患者が来ないので考えたあげくに、奉公人の権助を …

柳家小さん(五代目)時そば(時蕎麦)

  あらすじ・解説 江戸時代の時刻は、一時とか五時とか言わずに、四つと …

柳家小さん(五代目) 提灯屋

提灯屋(ちょうちんや)は古典落語の演目の一つ。元々は上方落語の演目で、3代目三遊 …

■柳家小さん(五代目) 一目上がり(ひとめあがり)

あらすじ 新年の挨拶に訪れた八つぁんは隠居の家にある掛け軸に目がいった。 「雪折 …

柳家小さん(五代目)花見小僧

あらすじ ある大店の一人娘、おせつは昨年から何度も見合いをしているが、何やかやと …