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■柳家小さん(五代目) 長者番付(うんつく酒)

      2015/02/22

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あらすじ

江戸っ子の二人組。
旅の途中、街道筋の茶店でひどい酒をのまされたので、頭はくらくら、胸はムカムカ。
迎え酒に一杯いい酒をひっかけたいと思っていると、山道の向こうに白壁で土蔵造りの家が見えてきた。

兄貴分が、あれは造り酒屋に違いないから、あそこでうんとのましてやると励まし、おやじに一升ばかり売ってほしいと交渉すると「一升や二升のはした酒は売らねえ」と、断られる。

どのくらいならいいのかと聞くと、
「そうさな。馬に一駄、船で一艘ぐれえかな」
一駄は四斗樽が二丁、船一艘なら五、六十丁というから、兄貴分の怒ったの怒らないの。

「人をばかにするのもいい加減にしろッ。こちとらァ江戸っ子だ。馬に一駄も酒ェ買い込ん道中ができるかッ。うんつくめのどんつくめッ」

その勢いに恐れをなしたか、おやじは謝り、酒は売るから腰掛けて待っていてくれと言っておいて、こっそり大戸を下ろしてしまった。

気づいたときは遅く、薪ざっぽうを持った男たちが乱入。
さては袋だたきかと身がまえると、おやじ「さっきおまえさまの言った『うんつくのどんつく』というなあ、どういうことか、聞かしてもれえてえ」と大変な鼻息。

兄貴分、これはまずいと思いながら、後ろに張ってある長者番付に目を止め、江戸ではそれを「運つく番付」という、と口から出まかせ。
江戸の三井と大坂の鴻池は東西の長者の大関だが、と前置きしてウンツクのウンチクを、ひとくさり。

「鴻池の先祖は伊丹で造り酒屋をしていたが、そのころはまだ清酒というものがなかった。あるとき、雇った酒造りの親方があまり金をせびるので、断ると、腹いせに火鉢を酒樽に放り込んで逃げた。ところが、運は不思議で、灰でよどみが下に沈み、澄んだ酒ができた」

これを売って大もうけ、運に運がついて大身代ができたから、大運つくのど運つく。
また、三井の先祖は越後新発田の浪人で、六部で諸国を廻っていたとき、荒れ寺に泊まると、夜中に井戸から火の玉が三つ。

調べると、井戸底に千両箱が三つ沈んでいた。
これをもとに松坂で木綿を薄利多売し、これも大もうけして、やがて江戸駿河町に呉服屋を開き、運に運に運がついて今では大長者。
おまえのところも今に長者になるから、運つくのど運つくとほめたのがわからねえかと、居直る。

暖簾(のれん)から顔を出したかみさんは、女ウンツク、青っぱなを垂らした孫は孫運つくで、今に大運つくになると与太を並べると、おやじは大喜び。

酒を振舞った上、今度造り酒屋で酒を買いたいときは、利き酒をしたいと言えばいいと、教える。

江戸では大ばか野郎をウンツクというが、まんまとだまされやがったとペロリと下を出した二人、ご機嫌で街道筋に出ると、後ろから親父が追いかけてくる。

「おめえさまがたをほめるのを忘れていただ。江戸へ帰ったら、りっぱな大ウンツクのどウンツクになってくだせえ」

「なにを抜かしゃあがる。オレたちはウンツクなんぞ大嫌えだ」

「えっ、嫌えか? 生まれついての貧乏人はしようがねえ」

解説

古くから親しまれた上方落語の連作長編シリーズ「東の旅」の一話で、清八・喜六の極楽コンビが伊勢参宮の途中、狐に化かされる「七度狐」に続く部分です。
「うんつく」「うんつく酒」の題で演じられてきました。

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