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桂米朝(三代目) 酒の粕

      2014/06/09

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「喜ぃ公。赤い顔してるけどどないしたんや。」
「酒の粕くうたんや。美味しいもんやなぁ。二つも焼いてくうたんや。」
「なさけない奴やなぁ。いい年して酒の粕くうて赤い顔してるんか。酒飲んだといわんかい。」
「そうかい。酒の粕より酒飲んだほうが男らしいちゅうもんかい?」
「そうやがな。威勢がいいやろそのほうが。酒飲んだと、こないいい。」
「あっそうか。おおきになぁ。」
「芳っさん。」
「なんじゃい。」
「顔赤いやろ。」
「ほんにポッとしるなぁ。どないしてん?」
「酒飲んだんや。」
「ほぉ。お前も酒飲めるようになったんかい。ほなら今度誘ったるわなぁ。で、どれくらい飲んだんや?」
「こんなおおきなん二枚やがな。」
「なに。酒の粕くうたんやろ。」
「解るか?」
「解るがな。二枚てなこといやーなぁ。ええか、武蔵野で二杯やったとな、こういうたらええがな。」
「武蔵野ってなんや?」
「大杯、大盃のことや。東京の武蔵野ちゅうとこはな広い原っぱだ。“野を見渡せない”、“野を見切れない”てんでな
“野見切れない”から“飲みきれない”ってことでなぁ、武蔵野ってことになったんだ。」
「そうかいなぁ。」
「二枚じゃあかんでぇ。武蔵野で二杯飲んだっていうんやでぇ。」
「ああそうかなぁ。おせてもろて段々かしこなるなぁ。」
「辰つぁん。顔赤いやろ。」
「ほんに赤いなぁ。走ってきたんかい?」
「走ってきたんとちゃうねん。わい、酒飲んだんや。」
「へぇ。酒のめるようになったんかい?で、どのくらい飲んだんだい?」
「武蔵野に二杯飲んだんだ。」
「へぇ。武蔵野で二杯かい?そいつぁすげぇなぁ。で、冷で飲んだんじゃねぇだろな。冷は毒だよ。燗したのかい?」
「はぁ。焼いて飲んだんだぁ。」

最後まで酒の粕からはなれないようですな。

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 - 桂米朝(三代目)

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