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■桂枝雀 崇徳院

      2014/08/17

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『崇徳院』(すとくいん)は、古典落語の演目の一つ。
元々は上方落語の演目で、後に東京でも口演されるようになった。
一門の垣根を越えて幅広く演じられているが、30分程度を要する大ネタであるため、普通の寄席ではベテランの噺家でないと持ち時間的に演じることはできない。
独演会などの落語会で、中入り前やトリの演目として出されることが多い。
この作品は初代桂文治の作といわれ、後世に改作などを繰り返し現在の形になったとされる。

あらすじ

商家の若旦那・作次郎が重病になった。
医者に診てもらったところ「医者や薬では治らない気病で、思いごとが叶えばたちどころに治るが放っておくと5日もつかどうか」とのこと。
これを聞いた親旦那、作次郎の幼少のころからの馴染みである熊五郎を呼びつけ、その思いごとを聞き出して来いと命ずる。
作次郎が熊五郎に告げた事情はこういうものだった。
先日、作次郎が高津神社へ参詣したときのこと。

茶店で休憩していると、そこへ入ってきた歳は17、8の美しい娘に一目惚れする。
娘が茶店を去る際、緋塩瀬(深紅色の羽二重)の茶帛紗を置き忘れていったので追いかけて届けると、娘は料紙に「瀬をはやみ 岩にせかるる 滝川の」という崇徳院の歌の上の句だけ書いて作次郎に手渡し、去って行った。

作次郎はこの歌の下の句「われても末に 逢わんとぞ思う」を思い出し、あの娘は「今日のところはお別れいたしますが、いずれ後にお目にかかれますように」と言ってくれていることに気付き、それから今までずっと娘のことばかり思い詰めているのである。
しかし先方がどこの誰であるのか訊かなかったため、皆目見当がつかないのだ。

熊五郎の報告を受けた親旦那は、熊五郎にその娘を何としても捜し出してくれと懇願する。
熊五郎はどこのお方かもわからないのにと渋ったが、借金を棒引きにしてなおかつ蔵付きの借家を五軒譲渡し、別に300両の礼金を支払うからと言われ、3日間の猶予をもらって捜し回ることになった。
2日間、大阪の街中を捜したが見つからない。

それもそのはず、熊五郎は「瀬をはやみ」の歌を誰に伝えるわけでもなく、ただ闇雲に走り回っていただけだったのだ。
女房には「探し出さなければ実家へ帰らせてもらう」とまで脅かされ、最後の1日に全てを賭ける熊五郎。

人の多く集まりやすい床屋や風呂屋、行く先々で「瀬をはやみ~」と叫んでは反応を待つ。
「うちの娘はその歌が好きでよく歌っている、別嬪だし高津神社にも足しげく通っている」という人に出会うが、その娘はまだ幼い子供と知りガックリ。
結局有力な情報が得られないまま日暮れとなって、疲労困憊になりながら入った本日10数軒目の床屋。
もうすでに剃れる髪も髭もなく、「いっそ植えてほしい」と悲鳴をあげる熊五郎。
待合場で例によって「瀬をはやみ~」と歌い出す。

ちょうどそこへ入ってきたのが棟梁風の男、急いでいるので先にさせてほしいと先客に頼み、髭を剃ってもらうことになった。
その男によると、主家のお嬢さんが今日明日とも知れぬ身。
そしてその原因は、お茶会帰りに高津神社の茶店に立ち寄った際、さる若旦那に気を取られて茶帛紗を忘れてしまい、その若旦那に届けてもらったとき余りの名残惜しさに、崇徳院の歌の上の句を書いて手渡したきり、恋煩いで枕が上がらなくなったというものであった。

男は、その若旦那を捜し出してくれと命ぜられてこれから紀州方面へ行こうとしていたのだ。
艱難辛苦の末にとうとう捜し求める娘が判った熊五郎。

その棟梁風の男に飛びかかり「その歌を書いてもろうたのはうちの若旦那や!」と叫ぶ。

「うちへ来い!」

「先にわしのとこへ来い!」

「お前が来たらこっちは借家五軒に300両…」

揉み合いになり、弾みで床屋の鏡を割ってしまった。
「どないしてくれる」と怒った床屋の主人。

熊五郎は「心配するな!崇徳院の下の句や!」

「割れても末(月末)に 買わんとぞ思う」

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