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■林家彦六(八代目 林家正蔵) 死ぬなら今

      2014/02/15

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あらすじ

しわいやのケチ兵衛という男、爪に灯をともすようにして金を貯め込んできたが、いよいよ年貢の納め時が来た。
せがれを枕元に呼び、寿命というものはどうにもならない、自分も、突き飛ばしておいて転がった人の上にずかずか乗るような醜いことまでして、
これだけの財産をこしらえたが、もう長くないので、おまえに一つ頼みがあると言う。

「どうだろう、早桶ン中に三百両、小判で入れてもらえないか」

地獄の沙汰も金しだい、自分のような者は必ず地獄におちるだろうが、金をばらまけばひょっとして極楽へ行けるかもしれないというわけ。
せがれが承知する
と安心したか、ごろっと痰がからまったと思うと、キュウとそのままになってしまった。
いわゆる、ゴロキュウ往生。

湯灌も済み、白い着物を着せて、さて、せがれが遺言通りに頭陀袋の中に三百両の小判を入れているところを親類の者が見て
「いくら遺言だからといって、そんなばかなことをしてはいけない」
と、知り合いの芝居の道具方に頼み、譲ってもらった大道具の小判とそっくり入れ替えてしまった。
こちらはケチ兵衛。

いつの間にか買収資金がニセ金に替わっているともつゆ知らず、閻魔の庁まで来ると、早速呼び出される。
浄玻璃の鏡にかけられると、今までの悪事がこれでもか、これでもかと映るわ映るわ。

「うーん、不届きなやつ」

閻魔大王が閻魔のような顔になったので、さあ、この時と、袖口に百両をそっと忍ばせると、その重みで大王の体がグラリ。

「あー、しかしながらあ、一代においてこれほどの財産をなすというのも、そちの働き、あっぱれである」

がらっと変わったから、鬼どもがぶつくさ不満タラタラ。
それではと、そいつらの袖の下にも等分に小判を忍ばせたので、ケチ兵衛、無事に天上し、極楽へスーッ。
ケチ兵衛のまいたワイロで、地獄は時ならぬ景気。
赤鬼も青鬼も仕事など止めて、のめや歌えの大騒ぎ。

その金が回り回って極楽へ来た。

ニセ小判であることはすぐに知れたから、極楽から貨幣偽造及び収賄容疑で逮捕状が出、武装警官がトラックに便乗して閻魔の庁を襲うと、閻魔大王以下、馬頭牛頭、見る目嗅ぐ鼻、冥界十王、赤鬼青鬼、ショウヅカの婆さんまで残らずひっくくって、刑務所へ。

地獄は空っぽ。

だから、「死ぬなら今」

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