【落語チャンネル】 ネット寄席

落語動画・音声まとめデータベース/世界に誇る日本の伝統芸能 落語ワールドをご堪能下さい

*

三遊亭金馬(三代目) 夏泥

      2014/07/20

Sponsored Link

ある夏の夜、路地裏の貧乏長屋にコソ泥が侵入。
目をつけたのは、蚊燻しを焚きっ放しにしている家。
こ汚いが、灯を点けずに寝ているからは、食うものも食わないで金を溜め込んでいるに違いないと、当たりをつけた。
火の用心が悪いと、お節介を言いながら中に入ると、男が一人で寝ている。

起こして「さあ金を出せ」とすごんでも、男は「ああ、泥棒か。なら安心だ」と、全く動じない。
男は日雇いの労働者で、昨日の明け方まで五円あったが、博打で巻き上げられて今は一文なし。
取られる物など何もないという。

「しらばっくれるな。これでも一軒の家を構えていて、何もないはずがねえ。
銀貨か何かボロッきれにでも包んで隠してあるだろう。
オレが消してやらなかったら、てめえは今ごろ蚊燻しが燃え上がって焼け死んじまったんだ。
いわば命の恩人だ」
「余計なことをしやがる」

二尺八寸ダンビラは伊達には差さないと脅しても
「てめえ、何も差してねえじゃねえか」

このところ雨が続いて稼業に出られず、食うものもないので水ばかりのんで寝ているという。
いっそおめえの弟子にしてくれと頼まれ、泥棒は閉口。

その上
「縁あって上がってきたんだ。すまねえが三十銭貸してくれ」
と、逆に金をせびられた。

「どうせただ取る商売だ。貸したっていいだろう。かわいそうだと思って」
「ばか言え。盗人にかわいそうもあるか」

「どうしても貸さねえな。路地を閉めれば一本道だ。オレが泥棒ッてどなれば、長屋中三十六人残らず飛んでくる。相撲取りだって三人いるんだ」

逆に脅かされ、しかたなく三十銭出すと、今度はおかず代もう二十銭貸せと、言う。
とんでもねえと、断ると
「どうしても貸さねえな。路地を閉めれば一本道だ」

また始まったから、しぶしぶ二十銭。

すると、またまた今度は
「蚊帳を受け出す金三十銭頼む。質にへえってるんだ。貸さねえと、路地を閉めたら一本道……」

泥棒はもうお手上げ。合計八十銭ふんだくられた。

「ありがてえ。これは借りたんだ。今度来たときに」
「誰が来るもんか」
「そう言わずにちょいちょいおいで。オレは身内がねえから、親類になってくれ」
「ばかあ言え。どなると聞かねえぞ」

泥棒がげんなりして引き上げると、アワを食ったのか煙草入れを置いていった。

男は煙草を吸わないので、もらってもしかたがないと後を追いかけて
「おーい、泥棒ォ」
「こんちくしょう。間抜けめ。泥棒ってえやつがあるか」

「今度は晦日に、また来てくんねぇ」

夏どろ/置き泥/置泥

Sponsored Link

 - 三遊亭金馬(三代目)

[PR]

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong>

  関連記事

三遊亭金馬(三代目) kinba
三遊亭金馬(三代目) 転宅

転宅(てんたく)は古典落語の演目の一つ。 原話は、天明8年(1703年)に出版さ …

三遊亭金馬(三代目) kinba
三遊亭金馬(三代目) 堪忍袋

原作者は、三井財閥の一族である劇作家・評論家の益田太郎冠者。 主な演者として、東 …

三遊亭金馬(三代目) kinba
三遊亭金馬(三代目) 夢金

山谷堀の吉田屋という船宿。 そこの船頭・熊五郎は、このところ毎晩のように超現実的 …

三遊亭金馬(三代目) kinba
三遊亭金馬(三代目) 唐茄子屋政談
三遊亭金馬(三代目) kinba
三遊亭金馬(三代目)転失気(てんしき)

体調のすぐれない和尚が診察に訪れた医者から「てんしき」があるかないかを聞かれる。 …

三遊亭金馬(三代目) kinba
三遊亭金馬(三代目) 錦の袈裟

あらすじ 町内の若者たちが吉原へ遊びに行くについて相談をした。 「質屋に何枚か質 …

三遊亭金馬(三代目) kinba
三遊亭金馬(三代目) 孝行糖

昭和36年(1961年)録音 11’50″ Ver. 馬 …

三遊亭金馬(三代目) kinba
三遊亭金馬(三代目) 居酒屋
三遊亭金馬(三代目) kinba
三遊亭金馬(三代目) 寝床
三遊亭金馬(三代目) kinba
三遊亭金馬(三代目) 浮世床

浮世床(うきよどこ)は、落語の演目の一つ。元々は上方落語の演目で、現在では東京で …