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■立川志の輔 バールのようなもの

      2014/12/18

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*清水義範の小説が原作

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あらすじ

大工の八っつぁんがニュースで見聞きする「バールのようなもの」という言葉が気になり、物知りのご隠居に訊ねる。
「何で『バールでこじ開けた』と言わないんですか」

「ニュースの言い回しだから、それでいいのだ。『捜査にメスが入りました』と言うだろう?お前、見たことがあるかい?捜査員がメスを持って入るのを。『美味しいものを食べて舌鼓を打ちました』と言うだろう? 舌鼓を打つかい? 誰がそんなものを打つかい! そんなものを打つのは落語家だけだ。だから、『バール』というよりも『バールのようなもの』というとニュースらしく聞こえる。深みがあるなあ。」

「なるほどねえ。で、その『バールのようなもの』というのはどういうものなんですか……ホントはあるんでしょ? 泥棒の業界だけで使う専門の道具なんでしょ。名前も『コジアケール』とか。ところが、それをニュースで言うと、全国の泥棒が『いいじゃねえか。これ使おうじゃねえか』となって、その商品がやたら売れると困るので、『バールのようなもの』と言っているんでしょ」

「お前さんが考えそうなことだ。無駄なところに深い読みをするんじゃない。誰も見ていなかったから『バールのようなもの』って言うんだ」

「ああ、なるほどね。見てりゃあ『バール』でいいものね」「でもね、泥棒だって、誰も見ていないじゃないですか。『泥棒のようなものが侵入し』でしょう」

……こんなこんなバカバカしい問答を繰り返した挙句、八っつぁんは『バールのようなもの』は必ずしも『バール』ではないことを覚える。
『女のような』は『女』ではなく、『ハワイのような』は『ハワイ』ではなく、『夢のような』は『夢』ではないように。

納得して、八っつぁんが家に帰ると、カミさんが怒っている。

「知ってるんだからね。女に会いに行ってきたんだね。妾のところだね」と凄まじい剣幕。
八っつぁん、必死になって「妾じゃない」と否定するが、カミさんは取り合わない。
仕方なく「あれは『妾』ではなくて『妾のようなもの』だ」と言ってしまい、殴られてしまう。

再びご隠居のもとへ来た八っつぁん、『妾』にだけは『のようなもの』を付けちゃ駄目と知る。
なぜか『妾』に『のようなもの』を付けると強調されるらしい。

「それにしても、そのおでこはひどいな。何で殴られたんだ」と問う隠居に、

八つぁん

「バールのようなもので……。」

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