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桂文枝(六代目) お忘れもの承り所(桂三枝)

      2014/06/09

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1983年12月作品

あらすじ

駅の忘れ物承り所に傘を忘れた男がやってきた。どんな傘かと聞くと要領を得ないが、どこで忘れたかと訊くと、
「昨日の環状線の夜の10時15分の内回り、前から2両目の進行方向向かって右側の1番前のシートの手すりに掛けたまま忘れてしまった」
とやたらと詳しく覚えている。
よくそんなに詳しく覚えていますね、と駅員が言うと、万が一忘れたときに供えておこうと一生懸命覚えていたら傘を忘れてしまったとのこと。

駅員が環状線の忘れ物の傘はこの辺だというと、男は1本指差して、これを見せてくれという。
その傘を渡すと、いい傘だと感心し、「これにする」というので、駅員は真面目に自分の傘を探してくれと注意する。
あれこれ時間をかけて、やっと見つけた忘れ物の傘は、ボロボロの傘。だが、男は見つかったというのにがっかりして、
「これがなくなったら、いい傘を買ってやると妻に言われているのに、この傘は何遍なくしても絶対出てくる」
と言って嘆いている。

そんな男の相手をしてうんざりしている駅員だが、実は今朝駅員も妻が作ってくれたお弁当を家に忘れてしまったのだ。
妻を説得してやっと作ってもらったお弁当なのに、妻は怒っているだろうと心配していると、妻から電話がかかってくる。
ちょうどこちらの方に用事があるというので、ついでにお弁当を持ってきてくれることになり、駅員は安心する。

すると、パニックになった男がやってくる。何と300万円の小切手を失くしてしまったのだ。
払いの悪かった取引先からやっと支払いをもらえることになり、絶対寝ないようにと思っていたのに、思わず電車で寝てしまった。
起きてみたら、ジャケットのポケットにもない、ズボンのポケットにもない、シャツのポケットにもない……と説明しながら、男はポケットをまた探り出す。
「腹巻の中にもない……あ、腹巻の裏にありました」と言って、男は帰っていった。

次に来たのは、鳥取みやげの松葉ガニを忘れてしまったという男。
生ものだからダメだろうと思っていたが、友達から冷蔵庫に保管してくれているはずだと聞いて、やってきたという。箱の特徴を聞いてもよくわからないので、いつの電車だと聞くと、13年前のことだからよく覚えていないという。
駅員はいくらなんでも13年前のものはないと言って、帰ってもらう。

次にやって来たおじいさんはメガネを忘れたという。
メガネについての話から嫁や孫の話をしたがるおじいさんに、メガネの特徴を聞いた駅員は
「それはおじいさんの頭に乗せているやつですか」という。
「自分で頭の上にあげて忘れたのではないですか」
という駅員に、おじいさんは
「ワシはそんなに耄碌していない。きっと親切な人が、寝ているうちに落としたメガネを頭に載せてくれたのだ」と言い張る。

それからカメラを忘れた人などが来ているうちに昼となり、妻のお弁当はもう間に合わないかと思っていると、駅員の妻がやってきた。
間に合ってよかったと駅員がホッとすると、妻が

「電車にお弁当を忘れてしまった」

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