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■桂米朝(三代目) いもりの黒焼き

      2014/06/09

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東京に移植された形跡がない純粋な上方落語

※モテかた指南関連 ⇒ 立川談志の『恋根問』という演目では、

あらすじ

「こんにちわ。女ごが惚れてくるちゅな工夫おませんやろか?」

「たまに顔見せたと思たら。そんな工夫は別にないが、昔からえぇ事が言うたぁる。いちみえ、におとこ、さんかね、しげぇ、ごせぇ、ろくおぼこ、ひちぜりふ、やぢから、きゅーきも、とひょーばん。このうち一つでもその身に備わってたら、女ができるっちゅうねや。」
※一見栄、二男、三金、四芸、五精、六おぼこ、七台詞、八力、九胆、十評判

「十もあるねんやったら、一つぐらいおまっしゃろ。一番何でんねん?」

「一見え、いつ見ても身なりを落とさん、あの人はいつも気の利た身なりしてるやないかと言うだけでも、やっぱり惹かされるもんやで。二男、男前が良かったら、こら女が惚れてくる。、三金、金がありゃぁえぇわいな。『惚れ薬、何がえぇかとイモリに聞けば、今じゃわしより佐渡が土』ちゅな唄があってな。佐渡島の土は金やと言ぅなぁ、まぁ惚れ薬よりもやっぱりこれが、佐渡の土や、金がえぇっちゅうねん。」

それから、甚兵衛さん、四芸と言うて四は芸。五精と言うて五は精を出して真面目に働く。
六オボコと言うてオボコかったら年増が惚れる。七台詞言うて七はセリフ。
八力と言うて八は力。九肝と言うて九は肝っ魂。十評判と言うて十は評判。
と、一通り説明するが、喜六にはひとつもあてはまらん。

「実はわてなぁ、命までもと思て惚れた女ごがいてまんねがな。隣りの町内の、米屋の娘はんだんがな。」

「えらい女ごに惚れたなぁおい。界隈きっての小町娘やないか、米屋小町てな噂されてるぐらいの。あかんあかん、そら十のうち一つや二つあったかて、あの娘はあけへんあけへん。そらもうお前あかん。」

「何とかなりまへんやろかなぁ?」

「ほんなら『イモリの黒焼き』でも使おか。『イモリよりも金の方がえぇ』てなこと言うたけどもなぁ、イモリの黒焼きも使い方では、効き目はあるわい。ただイモリを捕まえてきて黒焼にしても、それでは薬の効き目がないねや。本当に効かそうと思たら、交尾してるイモリを捕まえて、無理矢理に引き離して別々に素焼の壷へ入れて、これを蒸し焼きにする。オスはメスの事を思い、メスはオスの事を思いながら、蒸し焼きにされる。パッと蓋を取った時に立ち昇る煙が、山一つ越してでもが一つになると言うぐらいや。そのオスの方を自分の体に付けてやで、メスの方の黒焼を相手の女ごに振り掛けたら、こら向こうが勝手に慕い寄って来るっちゅうねや。」

「へぇーッ、ほんなら、そんなんどこ行ったら売ってます?」

「どこの黒焼屋でも行てな、『本当のイモリの黒焼、高こぉても構わんさかい、あったら出してくれ。』ちゅうて、少々高こつくとは思うけどな、それやったら効き目があんねや。」

この男、金を算段いたしましてな、高津の黒焼屋へ行て、本物のイモリの黒焼と言うのを買おて帰って来る。片一方を体に付けてもう一つの粉を持って、米屋の前へ立ってます。

「なんや最前から、けったいなやつがウロウロしてるやないか。しかしオモロイ顔してる。ちょっと嬢(とぉ)さん嬢さん、ちょっと来てみなはれ。オモロイ顔した男がうちの前に居りまっせ。」

どないおもしろいのん?ちゅうんで、そこの娘はんが出て来る。
それをこっちは待ってたわけですから、そばへ行てパーッとイモリの黒焼を振り掛けた。拍子の悪いことに風が吹いて来て、娘はんに掛からんと横に積んであった米俵へフワァッとそれが掛かった。
娘はんの方は口押さえてゲラゲラ笑いながら奥へ逃げ込んでしまう。
と、薬の掛かった米俵がゴトゴト、その男の方へヒョッコ、ヒョッコ……

「わ、わ。米俵に掛かった。米俵に掛かったら、米俵がわしを追いかけて来やがんねん。やっと家まで(ドン!ベリバリバリ)あ、うち入って来た。どこへ逃げよ、この路地へ入ろ、この路地やったら、米俵、入って来ぇへんやろ。入り口でつかえてまえ、入り口で(ドンッ、バリバリバリ)あッ、家壊してまいよった。あぁ、えらいこっちゃなぁ。甚兵衛はぁーん!」

「なんや?効き目あったか?」

「効き過ぎた。娘はんに掛からんと米俵に掛かった。米俵、わて追いかけて来てまんねん、うち帰ったら表の戸破って入って来た。」

「出て、出て!家出てくれおい。お前居ったら、うち米俵入って来る。」

「おいッ、喜ぃ公、どないしてん?何息切って走ってんねん?」

「飯米(はんまい)に追われてまんねや。」

用語解説

『飯米に追われる』=『生活が苦しい』
『とうさん』=娘の総称
いとさん(愛様)=姉
こいさん(こいとさん)=妹
なかんちゃん=間の娘

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