【落語チャンネル】ネット寄席

落語動画・音声まとめデータベース/世界に誇る日本の伝統芸能 落語ワールドをご堪能下さい

*

■立川談志 勘定板

      2014/04/27

Sponsored Link

ハバカリの無い村があった。山奥のまたその山の向こうに海岸が有って、ま、不思議な所があるものですが、その海岸に杭が打ってあって、紐の先に板がくくり付けられていた。便所に行きたいときは引き寄せてその板の上に用を足して、海にもどした。この村では上から食べて下から出すから勘定すると言って、その板を勘定板と呼んでいた。

その村人が江戸見物に出てきた。宿に入ったが仲間の一人が顔色が悪い。
勘定ぶちたいが、ここは江戸だから海も無いし仕方も分からない。
番頭を呼んで聞いてみることにした。

「相棒が顔色悪く、勘定が溜まっているので勘定をぶちたい」
「お発ちですか」
「いや、今朝来たばかりで10日程世話になる」
「それでは、お帰りの時まとめてくれれば、それでイイですよ」
「なに、10日もまとめるか。田舎にいたときは毎日勘定していた」
「お堅い事で」
「堅いか柔らかいかは分からない。毎日勘定ぶったらいけないか」
「毎日というと、私らが面倒になります」
「そっちが面倒でも、こっちはぶたせてもらう」
「分かりました。ではどうぞ。ここでおやんなさい」
「勘定板を持ってこい」。

番頭だから気が利きすぎていた。
勘定と言うからソロバンのことだと思った。昔のソロバンは裏に板が張ってあった。間違えるときは仕方が無いもんで…。

「これにどうぞ」
「板が細いがこぼれないか」
「ここからはみ出る勘定を私は見たことがございません」
「勘定が出来たらどうする」
「お手を叩いていただけたら、私が取りに伺います」
「勘定場に連れて行って欲しい」
「今、帳場が混み合っていますから、ここでどうぞ。床の間の前でも、日当たりの良い廊下でも、どうぞお好きな所で」
「では、廊下でしよう」。

ソロバンを裏側にしてまたごうとしたが、羽織の裾が引っかかってソロバンがゴロゴロゴロと転がり始めた。
「お~う、見ろや。江戸は重宝だ、勘定板が車仕掛けになっとる」。

Sponsored Link

 - 立川談志

[PR]

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

  関連記事

立川談志/十徳

あらすじ 御隠居が着ている服の名前は十徳だと教えて貰った。 その名の由来を聞くと …

立川談志/化け物使い

人使いの荒いご隠居がいて、次々と奉公人を雇うが、三日も経たずに「暇をもらいたい、 …

立川談志 付き馬

付き馬(つきうま)は、古典落語の演目の一つ。 原話は元禄5年(1692年)に出版 …

立川談志 雑俳

あらすじ 八五郎が横町のご隠居のところへ遊びに行き、茶飲み話をしているうち、ご隠 …

■立川談志/やかん(薬缶)

★聴き比べ ⇒ 三遊亭金馬(五代目)やかん  ⇒ 三遊亭圓生(六代目)やかん & …

立川談志 ろくろ首(ろくろっ首)

ろくろ首(ろくろくび)は、古典落語の演目の一つ。 元々は上方落語の演目で、幕末か …

立川談志/笠碁

笠碁(かさご)は、古典落語の演題の一つ。上方落語であったが、東京に移植された。囲 …

立川談志 猫久(ねこきゅう)

長屋連中の人気のおかず『鰯のぬた』は、貧乏人のおかずとされていた。 落語『目黒の …

立川談志 木乃伊取り

あらすじ 集金の金を持って若旦那が2~3日帰ってこなかった。 調べると吉原の角海 …

立川談志 実演解釈 笑い茸