【落語チャンネル】ネット寄席

落語動画・音声まとめデータベース/世界に誇る日本の伝統芸能 落語ワールドをご堪能下さい

*

古今亭志ん朝 ぞろぞろ

      2014/10/21

Sponsored Link

浅草田んぼの真ん中に、太郎稲荷という小さな社があった。
今ではすっかり荒れ果てているが、その社前に、これもともどもさびれて、めったに客が寄りつかない茶店がある。

老夫婦二人きりで細々とやっていて、茶店だけでは食べていけないから、荒物や飴、駄菓子などを少し置いて、かろううじて生計をたてている。
爺さんも婆さんも貧しい中で信心深く、神社への奉仕や供え物はいつも欠かさない。

ある日、夕立があり、外を歩く人が一斉にこの茶屋に雨宿りに駆け込んできた。
雨が止むまで手持ちぶさたなので、ほとんどの人が茶をすすり駄菓子を食べていく。
こんな時でないと、こう大勢の客が来てくれることなど、まずない。

一度飛び出していった客が、また戻ってきた。外がつるつる滑って危なくてしかたがないという。
ふと天井からつるしたワラジを見て、「助かった。一足ください」

「ありがとう存じます。八文で」

一人が買うと、俺も、じゃ私もというので、客が残らず買っていき、何年も売り切れたことのないワラジが、一時に売り切れになった。
夫婦で、太郎稲荷さまのご利益だと喜び合っていると、近所の源さんが現れ、鳥越までこれから行くから、ワラジを売ってくれと頼む。

「すまねえ。たった今売り切れちまって」

「そこにあるじゃねえか。天井を見ねえな」
言われて見上げると、確かに一足ある。
源さんが引っ張って取ろうとすると、何と、ぞろぞろっとワラジがつながって出てきた。
それ以来、一つ抜いて渡すと、新しいのがぞろり。

これが世間の評判になり、太郎稲荷の霊験だと、この茶屋はたちまち名所に。
田町辺の、はやらない髪床の親方。客が来ないので、しかたなく自分のヒゲばかり抜いている。

知人に太郎稲荷のことを教えられ、馬鹿馬鹿しいが、退屈しのぎと思ってある日、稲荷見物に出かける。
行ってみると、押すな押すなの大盛況。

茶店のおかげで稲荷も繁盛し、のぼり、供え物ともに以前がうそのよう。
爺さんの茶店には黒山の人だかりで、記念品にワラジを買う人間が引きも切らない。

親方、これを見て、
「私にもこの茶店のおやじ同様のご利益を」と稲荷に祈願、裸足参りをする。

満願の七日目、願いが神に聞き届けられたか、急に客が群れをなして押し寄せる。

親方、うれしい悲鳴をあげ、一人の客のヒゲに剃刀(かみそり)をあてがってすっと剃ると、後から新しいヒゲが

ぞろぞろっ。

演目:『ぞろぞろ』について
http://rakugo-channel.tsuvasa.com/600

Sponsored Link

 - 古今亭志ん朝

[PR]

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

  関連記事

■古今亭志ん朝 そば清(蛇含草)
古今亭志ん朝 夢金

夢金(ゆめきん)は古典落語の演目の一つ。 原話は、安永2年(1773年)に出版さ …

古今亭志ん朝/三軒長屋

あらすじ 三軒長屋の両端に鳶の頭と剣術の楠木先生、真ん中には質屋の妾が住んでいる …

古今亭志ん朝 稽古屋

★聴き比べ ⇒ 古今亭志ん生 稽古屋

古今亭志ん朝 代脈

代脈(だいみゃく)は、古典落語の演目の一つ。 原話は、元禄10年(1697年)に …

古今亭志ん朝 お若伊之助(根岸お行の松 因果塚の由来)

日本橋石町に「栄屋」さんと言う大きな生薬屋さんがあった。 そこの一人娘の”お若” …

■古今亭志ん朝/井戸の茶碗

あらすじ くず屋の清兵衛は曲がったことが大嫌い。人呼んで正直清兵衛。 ある日、み …

古今亭志ん朝 富久

あらすじ 夜半日本橋横山町の元の旦那越後屋さんが火事だという。急いで駆けつけると …

古今亭志ん朝 三枚起請(さんまいきしょう)
古今亭志ん朝/甲府い

あらすじ 「ひもじさと寒さと恋と比ぶれば恥ずかしながらひもじさが先」と言いますが …