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■桂枝雀(二代目)鷺とり(鷺取り)

      2019/03/11

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鷺とり(さぎとり)は、古典落語の演目の一つ。原話は、寛政3年(1791年)に出版された笑話本・「鳩灌雑話」の一遍である『鷺』・『鷺の次』。
元々は上方落語の演目で、主な演者に東京の6代目三遊亭圓窓や4代目柳家つばめ、上方の初代桂春団治や2代目桂枝雀などがいる。

あらすじ

岩田の隠居が、働かないで遊んでばかりいる男に説教をしている。
「ご飯をどうやって食べるんだ?」
「箸と茶碗で」
「そうじゃない。その米は何処から持ってくるんだ」
「「米屋が運んできます」
「そのお代は?」
「踏み倒します」
「そういう考えでは駄目なんだ!」と隠居。
「そりゃね、あたしだって、遊んでばかりいては駄目だって自覚しているんですよ。いろいろと商売を考えているんです。例えば…そう、雀を捕まえるとか」
ラッカセイとお米、そして日本酒を買ってくる。お米を日本酒に漬け、十分に染み込んだ所で庭にザーッ!
「上のほうで相談が始まりますよ。『食べに行こうか』『罠かもしれない、止めよう』、侃々諤々となっていると、そこへ飛んでくるのが雀の難波っ子です」
『難波のど根性を見せたる』と言って、難波っ子雀はお米を食べに行く。無事に帰ってきたので、江戸っ子雀たちも下に降りて来てお米をついばみだして…。
「良く考えてくださいよ? お米は日本酒にしこたまつけてあるんです。そんなものをたらふく食べれば…」
「雀が酔うのか?」
「そうですよ。ヘベレケになったところで、かねてより用意のラッカセイをザーッ!」
「”おつまみ”にしろって言うのか?」
「違いますよ」
酔っ払うとどうしても眠くなる。そこにラッカセイをまくと、雀たちがラッカセイを枕に熟睡してしまうはずだ。そこを箒と塵取りでかき集めれば…。
「それ、やったのか?」
「やってみたんですよ。お米をザーッ、雀が降りてきてチュンチュン、ラッカセイをドバーッ!」
「ほー。で、うまく行ったのか?」
「その音でびっくりして逃げちゃった…」
普通はそうだろう…と呆れる隠居。
「今のは冗談でしてね。実は本命がもう一つあるんです」
鷺を捕まえて、鳥屋に売りさばこうというのが男の【本命】。鷺が池で、泥鰌か何かをついばんでる所へ乗り込んで行って、はるか彼方から呼びかける。
「『サーギー!』、遠くから呼びかけるから、鷺は油断してえさをついばんでいます。少し近づいて、さっきより小さい声で『サーギー!』」
近づくのとは反比例に、どんどん声を小さくしていけば、連中は気づかずにえさをついばみ続けるはずだ。最後は、鷺の真後ろまで忍び寄って…。
「『…』」
「なんだ?」
「聞こえないでしょう。で、油断した鷺の頭を、トンカチでカンコンカンコン! ところで…鷺って何処にいるんでしょうか?」
「不忍池…かな?」
その日の深夜…やって来ました不忍池。
鷺たちが羽を休めている。本来なら、群れの一羽が起きていて、何かあったらそいつの合図でバーッと逃げるはずが、その見張りが居眠りしていたせいで…。
男のチープな計画通りに、みんなまとめて捕まった。男は浮き浮きしながら、それを捕まえては縄で腰に結び付け始める。
腰の周りが三十羽の鷺で一杯になった…その時。東の空が白んできて、鷺が目を覚まして一斉に飛び立った。
「ウヒャー、こりゃあサギ(鷺)だー!」
男は高々と空に舞い上がった。そのうち、目の前に鉄の棒が一本ニュ~ッと見えてきたので、これ幸いとそれにつかまった。
「まだ羽ばたいてやがる。こんなのが居るから…飛んでけ! とんでっちゃった。ところで、ここは何処だ…?」
下を見ると隅田川、向こうに見えるのが上野の山…つまりここは浅草だ。
「ウチの近くじゃないか、有り難いな。雷門が見えるから、ここは浅草寺だな。仲見世があって、後ろに本堂があって五重塔…フワー!!」
五重塔の九輪につかまったまま、腰ぬかしてしまった。
一方、こちらは浅草寺の境内。事件を知った人たちが集ってきたのだろう、ワイワイガヤガヤと賑やかになっている。
そのうち、話を聴きつけた浅草寺のお坊さんが、四人集まって分厚い布団の四隅をしっかりと握って…。
「のぼりが出てきたな。『コ』・『レ』・『ヘ』・『ト』・『ヘ』・『タ』・『ス』・『ケ』・『テ』・『ヤ』・『ル』? これへ跳べ、助けてやる…有難い!」
男は助かりたい一心で飛び下りた。運よく布団の真ん中にストーン!
ところが、あんまり布団をピンと張りすぎていたせいで、落ちてきた男はトランポリンに落ちたみたいに跳ね飛ばされ、塔の天辺に…戻った!!
「また行きますよ!」
男は助かりたい一心で飛び下りた。運よく布団の真ん中にストーン!
今度は少し力を抜きすぎていたせいで、四隅のお坊さんの頭が真ん中にきて、ゴツゴツゴツーンとぶつかり合った。
四人の僧侶の目からパッと火が出て…布団に燃え移って、そのまま火事になった…。
というのだが、本当だろうか?

バリエーション

鷺の代わりに雁が登場する場合もあり、その場合はタイトルも『雁とり』と変わる。
上方版では、男が鷺とりに忍び込むのは圓頓寺の池。宙に飛ばされた後、とっ捕まった五重塔は天王寺にあるという設定。

上方での演出

前半部は「商売根問」として演じられる。「商売根問」だけで演じられるときは、さまざまな商売をして失敗するパターンを多く演じるが、「鷺取り」では雀を取ろうとして失敗するくだりを冒頭部に演じて
「ようそんなアホなことしよるなあ。」
「へえ。何かええ商売おまへんか。」
「あ、そしたら圓頓寺行ってみんか。あそこの池にようけ鷺おんねん。」
という導入部で主人公が鷺を取りに行く筋となっている。
主人公が四天王寺の塔の五輪にしがみつき、天王寺に異変があったと、人々が「えらうこっちゃ」と騒ぎ、踊りながら天王寺に駆け付けるくだりは、「韋駄天」という「はめもの」を用いており、俄(にわか=宴席、路上、遊郭などで行われた即興の芝居で、このネタでは駄洒落を連発)を言いながら「俄じゃ。俄じゃ。」と浮かれるなど、上方落語らしい賑やかなクライマックスを作っている。桂枝雀は、派手な身振りや表情で観客の爆笑をとっていた。
俄の一例(演者によってさまざまなバージョンがある。)
「あ、えらいこっちゃ。えらいこっちゃ。」
「もうし、どうしたんですか。」
「どうもこうもあらへん。心中ですがな。
「へ。心中でっか。」
「はいな。男が二十。女が十八。」
「えらい若いでんなあ。」
「親が反対するもんやさかい、二人とも大川に身を投げましてな。」
「へえ。」
「ところが、飛び込んだとこが船の上でっさかい、二人とも命拾い。」
「へえ。それやったら、心中しまへんがな。」
「せやから、言いまっしゃろ。心中する者はみな救われる。」(信じる者は皆救われる。)
「もうし、それ何だす。」
「せやからね。・・心中する者皆救われる。」
「俄でおますか。」
「俄でんがな。」
「あ俄じゃ。俄じゃ。……えらいこっちゃ。えらいこっちゃ。」

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