古今亭志ん朝/真田小僧
あらすじ
子どもが父親にまとわりついて小遣いをねだるがもらえない。それじゃ、お母っさんにもらうという。
この間、留守の時に来たおじさんのことを近所中に話すといえば必ずくれるという。
これを聞いた父親も不安になって、話の続きを聞きたがる。
子どもは寄席で聞く時も木戸賃は前払いだといって金をせびるので、仕方なく5円を渡す。
お母っさんはそのおじさんの手を取って、嬉しそうに「うちのがいなくてちょうどよかった」なんて言って座敷にあげたという。
それからどうしたと聞くと、もう10円せびられる。
お母っさんが外へ遊びに行くようにとお金をくれたので、後は分からないという。
父親がなんで肝心なところで出て行ったのだと叱る。子どもは、気になったから戻ってきて障子の隙間から覗いたという。
「どうだった」と父親は気が気でない。
子どもはここが大事な切れ場だからもう10円くれという。
仕方なく10円を渡すと、子ども「よく見たらそのおじさんは、いつも来る横丁のあんまさんだった」といって、外へ逃げ出して行ってしまう。
そこへ帰ってきた女房にこの事を話して女房に呆れられる。
女房はうちの子は近所の子ども達より知恵が働くなんていう。
父親はあんなのは知恵者じゃあない。
それに引き換え真田幸村の子どもの頃はと、真田三代記の一説を女房に語り始める。
城を取り囲まれた時、まだ14歳だった幸村が、父の昌幸に進言し、敵方の永楽通宝のついた旗を立てて夜討ちに出て、敵方が混乱し同士討ちをしているすきに脱出し危機を逃れ、それ以来、真田の家紋は永楽通宝を6つ並べた六連銭になった。
大阪城落城後は薩摩に落ち延びたともいわれている。うちのガキとは比べものにならない。
こんな話を女房にしていると、子どもが戻ってきた。
金を返せというと講釈を聞きに行って全部使ってしまったという。
何の講釈かと聞くと真田三代記だといい、すらすらと語り出す。
子どもは六連銭とはどんな紋なのかを聞く。
上に3つ下に3つ並べてあるんだと話しても何度も聞くので、父親がこういうふうにと50円玉を並べ始る。
子どもは今度は自分が並べるといい銭をかき集め、持って表へ飛び出して行ってしまう。
「こん畜生、また講釈を聞きに行くのか」
「今度は焼き芋を買ってくる」
「ああ、いけねえ うちの真田も薩摩へ落ちた」
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