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桂枝雀(二代目)千両みかん(千両蜜柑)

      2018/07/07

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千両蜜柑(せんりょうみかん)は、古典落語の演目。
原話は、明和9年(1772年)に出版された笑話本「鹿の子餅」の一遍である『蜜柑』。
松富久亭松竹の作とも伝わっている。

元々は上方落語の演目の一つで戦後に東京へ移植された。

主な演者として、上方の3代目桂米朝や6代目笑福亭松鶴、東京の5代目古今亭志ん生や林家彦六などがいる。

あらすじ

※東京と上方では、演出に差がある。

【共通部分】

ある呉服屋の若だんなが急に患いつき、『明日をも知れぬ重病』になった。
医者が言うには、「これは気の病で、何か心に思っていることがかないさえすれば、きっと全快する」のだとか。

しかし、いくら父親がたずねてみても、若旦那は首を横に振るばかりで答えようとしない。

数日後……若旦那は、とうとう飯も喉に通らないほど衰弱してしまう。

みかねた父親は番頭の佐兵衛を呼び出し、「何が何でも若旦那の悩みを聞きだせ!」と厳命。

「きっと、好きな女の子でも出来たに違いありません」

なかなか口を割らない若旦那を、「必ずどうにかするから」とようやく白状させてみると……

「実は、……ミカンが食べたい」

あっけに取られた番頭。「座敷中ミカンで埋めてあげます」と請け合って、大旦那にご報告。

「まずい事をいったものだな」

「如何してです?」

「何処にミカンがあるんですか?」

その通り。冬場の出盛りならいざ知れず、今は真夏、土用の八月。はっと気づいたがもう遅い。

「もしミカンがないと言えば、せがれは気落ちして死んでしまう。そうなったら、お前は『主殺し』で磔だ。それが嫌なら…」

主に脅され、番頭は大慌てで外に飛び出していった。

あちこち探してみたものの、やはりミカンは見つからない。磔柱が目の前にチラチラ……

【東京版】

「ミカン、ありますか!?」

「あるわけないでしょ、ここは金物屋ですよ?」

なんて事になるぐらい、番頭はパニックになっていた。

「え? 若旦那が重病で、みかんが見つからなかったら磔?」

昔見た引き回しや、磔の場面を聞かされて、番頭はその場に卒倒してしまう。

同情した主人は、番頭を介抱して「神田多町の問屋街…万屋惣兵衛の所に行けばあるのでは」と教えてあげた。

ワラにもすがる思いで問い合わせると、幸運な事にミカンはあった!

「ちょっとお待ちください」

蔵の扉を開け、山積みになった木箱を引きずり出すと、次々と開けていく。

「ありました!」

「え、ある? ね、値段は?」

「千両」

こっちも遊びで店を出しているわけではない。どうしても食べたいと言うお方のために、腐るのを承知で上物ばかりを選んで貯蔵しているのだ…と言うのが向こうの弁。

主に報告すると、「安い。せがれの命が千両で買えれば安いもんだ」。番頭は目を白黒、千両出して蜜柑を買う。

「あー、もったいない。皮だって五両ぐらい。スジも二両、一袋百両…」

上手そうにミカンを食べる若旦那を横目に見ながら、番頭は事の成り行きに呆れてしまう。

喜んで食べた若だんなは、三袋残して、これを両親とお祖母さんにと番頭に手渡した。

「一ふさ百両。三つ合わせて三百両……このままずっと奉公していたって、そんなお金は手に入らない。旦那様には悪いが…」

この番頭、ミカンを三ふさを持って失踪した。

【上方版】

番頭、探し疲れて八百屋と間違えて鳥屋に飛び込んでしまう。

昔見た引き回しや、磔の場面を聞かされて、番頭はその場に卒倒してしまう。

同情した主人は、番頭を介抱して「天満の青物市場に行けばあるのでは」と教えてあげた。

ワラにもすがる思いで問い合わせると、幸運な事に「ああ、ミカンでっか。おます。」との返事。

「へっ!あるんでっか。売ってもらえまへんやろか。」

「よろしおま。」と問屋は番頭を蔵へ連れて行く。

蔵の扉を開け、山積みになった木箱を引きずり出すと、次々と開けていく。

だが、箱の中のミカンはことごとく腐っている。番頭は再び絶望のどん底へ 。

気の毒に思った問屋は「蔵中の木箱あけまっさかい、待っておくんなはれ。」と番頭を落ち着かせる。

ついに最後の一箱になる。

「おました!底にたった一つ残ったある。」見れば一つも痛んでいない。

問屋が同情してタダでくれると言うのを、番頭が大店の見栄で「金に糸目はつけない」と見得を切る。

そのあまりのしつこさに、問屋もつい意地になって一つ千両とふっかけ、「毎年腐るの承知で蜜柑を囲います。みな腐ってもたら今年も暖簾に入れたとあきらめますが、一つでも残って買い手付いたら、千箱あった蜜柑の全部の値掛けさせてもらいま。商人冥利ビタ一文も損させまへん。」とキッパリ言われる。

びっくりした番頭、店に飛んで帰る。

「ああ、番頭どん。さいぜんは無理言うてすまなんだ。つい親心がでてしもて堪忍しとくなされ。」

「旦那さん、それどころやおまへんで。蜜柑ありました。」

「何じゃと!」

「天満の青物市場にあるんやけど、値が千両。何と馬鹿にしてるやおまへんか。」

一部始終を語ると、この父親も商人だ。

「ウム。青物問屋、そう言うたかい。倅の命、千両なんて安いもんじゃ。これ!千両箱もっといで!番頭どん、御苦労じゃがその千両箱持って買ってきとくんなされ。」

と言われ、番頭、目を白黒。千両出して蜜柑を買う。

若旦那は十袋ある蜜柑を巧そうに食べ、「さ、三袋残ったさかい。これはお父はんとお母はん、そして番頭、お前三人で分けて食べ。」と渡す。

番頭、三袋の蜜柑を手に考えた。

「金持ちっちゅうんは勝手なものや。こげなミカン一つに千両か。俺も来年暖簾分け、あの渋ちんがくれるのは、どう見積もっても五十両。…この蜜柑一袋百両、三つあるから三百両…ええいっ!あとは野となれ山となれ!」

蜜柑三袋持って逐電した。

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