古今亭志ん生(五代目)締め込み
泥棒をシテ役とする噺は、この噺をはじめ、やかん泥/夏泥/穴泥/芋泥/もぐら泥/花色木綿/釜泥/だくだく/つづら泥…など数多くあるが、明治中期ごろまではもっと多くの「泥棒もの」の噺が多く高座にかけられていた。
これらの噺に登場のどろぼうはいずれもがお人好しで、憎めない連中である。
とりわけこの『締め込み』は変化に富んだ内容といい、上出来のサゲといい、優れた構成の作品で『泥棒もの』の代表的な噺である。
同時に、噺の出来た江戸後期の世相一端を物語っているので、その点でも興味深い噺である。
原話は、享和2年(1802年)に出版された笑話本「新撰勧進話」の一遍「末しら浪」(500字ほどの小咄)を参考にして、落語寄席が始まって間もない頃作られた噺である。
三代目柳家小さんが、上方噺『盗人の仲裁』を移入して笑いを多くし、心理的にも奥行きの深い洗練された口演となる。
原話にはない、夫婦げんかの原因である泥棒の風呂敷包みの筋立ては、後代の脚色である。
本来のサゲは、
「…泥棒が家ン中にいるのに、家ン中に締りをしたってしょうがねえじゃねえか、なあ、外にこう廻って表から心張りをかえ、なあ、それで泥棒を締め込んどけぇ」
となるが、志ん生のこの音源では、噺の途中でサゲている。
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