★柳家小さん(五代目)将棋の殿様
将棋の殿様(しょうぎのとのさま)は落語の演目のひとつ。上方落語における大名将棋(だいみょうしょうぎ)もこの項目で説明する。
講談が元になったいわゆる「釈ネタ」で、大久保彦左衛門の逸話がもとになったといわれる。初代三笑亭可楽が時の将軍・徳川家斉の御前で演じた、という伝説が残る。
あらすじ
ある藩(『大名将棋』では紀州)の殿様が、突然将棋に凝りだした。家来たちが相手を務めることになるが、殿様は相手がよそ見している間に都合の悪い駒を動かしたり、「余の桂馬は名馬であるから、5つ6つ跳ぶのは当たり前じゃ」などと言ってルールにない指し方をしたり、王手になると「王将の八艘飛びじゃ」と言って盤から取り除いたりするため、殿様が連戦連勝。やがて殿様は、「勝者が、敗者の頭を鉄扇でたたく」というペナルティを追加し、家来は皆、頭がたんこぶだらけになる。
その頃、長く療養をしていた家老の田中三太夫(『大名将棋』では石部金吉郎)が久しぶりに登城してくる。家来から一部始終を聞いた家老は、やがて殿様に対局を申し込まれる。対局を初めてすぐに殿様は「控えろ。その歩を取ってはならぬ!」などとわがままを言うが、家老は「敵の指図で戦を進める者はおりません。たとえこの場で打ち首になろうとも、この歩だけは断じて動かすわけにはまいりません」と、軍略・政略に通じる正論を言ってそれを許さない。
わがままを封じられた殿様は、家老にあっという間に負ける。「では、鉄扇を拝借いたしまして、この爺めが殿の頭を……」家老は剣の達人として恐れられていたため、殿様は不安に思いながら家老の手元に頭を差し出す。すると、家老は殿様の頭ではなく、膝をたたく。「皆の者、将棋盤を焼き捨てい。これからは家中で将棋を指すものには切腹を申しつける」
殿様は、今度は落語に凝りだす。殿様は家来たちに自作の落語を聞かせるが、「空を飛ぶ鶴を見てうらやましくなった亀が地団駄を踏んだ。これが本当の『石亀の地団駄』じゃ」など、あまり面白くない。家来たちは笑わなければ鉄扇でたたかれるのではないかと思い、無理に笑っている。殿様の語りは、なぜか次第に厄祓いの口上になり、
「鶴は千年亀万年。東方朔は九千歳、浦島太郎は八千歳。三浦大介百六つ、かほどめでたき折柄に、いかなる悪魔がきたるとも、この厄祓いがひっとらえ、西の海へ真っ逆さまに、ザブリーン」「笑いましょ、笑いましょ」
バリエーション
[PR]
こちらの演目もどうぞ
関連記事
-
-
★柳家小さん(五代目)真田小僧
落語 「真田小僧」 柳家小さん(五代目) 親父が小遣いをくれないので 「よ …
-
-
★柳家小さん(五代目)親子酒
親子酒(おやこざけ)は、古典落語の演目の一つ。 原話は上方の初代露の五郎兵衛が宝 …
-
-
★柳家小さん(五代目) かぼちゃ屋(唐茄子屋)
かぼちゃ屋(かぼちゃや)は古典落語の演目の一つ。別題は『唐茄子屋』。 原話は、安 …
-
-
★柳家小さん(五代目)一目上がり(ひとめあがり)
あらすじ 新年の挨拶に訪れた八つぁんは隠居の家にある掛け軸に目がいった。 「雪折 …
-
-
★柳家小さん(五代目)三人旅
あらすじ 三人で旅をしている途中、歩き疲れたので馬でも乗ろうか。 馬賃を値引きし …
-
-
★柳家小さん(五代目)長屋の花見(貧乏花見)
「貧乏花見は落語の演目。元々は上方落語の演目の一つである。江戸落語では「長屋の花 …
-
-
★柳家小さん(五代目)花見小僧
ニコニコ春寄席 柳家小さん 花見小僧 あらすじ ある大店の一人娘、おせつは昨年か …
-
-
★柳家小さん(五代目)万金丹
落語「万金丹」 ●あらすじ 江戸を食い詰めた梅吉と初五郎の二人連れ。 道中で路銀 …
-
-
★柳家小さん(五代目)湯屋番
道楽の末、勘当中の若だんな、出入りの大工・熊五郎宅の二階に居候の身。 お決まりで …
-
-
★柳家小さん(五代目)強情灸
強情灸(ごうじょうきゅう)は古典落語の演目の一つ。 元々は上方落語の『やいと丁稚 …
- PREV
- ★桂枝雀(二代目)代書屋
- NEXT
- ★立川談志/淀五郎