春風亭柳枝(八代目)高砂や
2022/05/06
かつては8代目春風亭柳枝や6代目春風亭柳橋などが演じ、現在は10代目柳家小三治が十八番にしている。
あらすじ
何の因果か、物知らずな八五郎がひょんな事から仲人を仰せつかる事になった。
相手は伊勢屋という豪商。着ていく服もなく、困った八五郎、知り合いの隠居に羽織を借りに行った。
ついでに仲人の心得を教えてもらい、
「ご祝儀に『高砂や』ぐらいはやらなくてはいけない」と言われる。
『謡』などに縁のない八五郎は頭を抱えるが、隠居に
「ほんの頭だけうたえば、あとはご親類方がつけるから」と言われてしぶしぶ歌う事になる。
節が似ていると言うので、豆腐屋の売り声を試し声とし、なんとか出だしだけはうたえるようになった。
さて本番。婚礼の披露宴なかばで「ここらでご祝儀をひとつ」
頼まれた八五郎、いきなり「とーふー」と声の調子を試したあと、
「高砂や この浦舟に 帆を上げて」をひとくさりやって、「あとはご親類方で」と逃げようとした。
ところが「親類一同不調法で……仲人さんお先に」といわれ、思わず
「高砂や この浦舟に帆を 下げて」と謡ってしまい、「下げちゃ、だめですよ」と突っ込まれる。
「高砂や この浦舟に 帆をまた上げて 高砂や この浦舟に……ウゥ……助け舟ェ!!」
概要
典型的な『オウム』(教えてもらったとおりにやろうとして失敗するパターン)の噺で、似たようなパターンの噺に「松竹梅」がある。
オチとなる「高砂や」の謡いは、能の『高砂』に出てくる謡で、高砂の松と住吉の松とが相生の松であるとし、夫婦和合をうたっている。
その他
この後、
「高砂や この浦舟に帆を 下げて~」などとやっているうち、一同が巡礼歌の節で「高砂や」を謡いだしてしまう。
仕舞には一同揃って「婚礼にご容赦(=巡礼にご報謝)」。
まで演じるのが本来のやり方だが、「巡礼にご報謝」(石川五右衛門を主役とした歌舞伎『楼門五三桐』二幕目の幕切れで、巡礼姿の真柴久吉が発する決め台詞)が分かりにくいことから、「助け舟」でサゲることが多い。
[PR]
こちらの演目もどうぞ
関連記事
-
-
春風亭柳枝(八代目)元犬
あらすじ 浅草蔵前の八幡さまの境内に、珍しい純白の戌が迷い込んだ。 近所の人が珍 …
-
-
春風亭柳枝(八代目)五月幟(ごがつのぼり)
ぐうたらで酒飲みの熊公のことを案じたのが、おじでした。 せがれの初節句で武者人 …
-
-
春風亭柳枝(八代目)子ほめ
プロフィール 8代目春風亭 柳枝(しゅんぷうてい りゅうし、1905年12月15 …
-
-
春風亭柳枝(八代目)熊の皮
. 小咄から発展したものであり、江戸期の文献では、 1773年(安永2年)に出版 …
-
-
春風亭柳枝(八代目)山号寺号(恵方参り)
別名:恵方参り 昭和33年(1958年)録音 貴重な歴史的音源です あらすじ 商 …
-
-
春風亭柳枝(八代目)甲府い
[落語でブッダ1-収録]
-
-
春風亭柳枝(八代目)王子の狐
王子の狐(おうじのきつね)は、落語の噺の一つ。初代三遊亭圓右が上方噺の高倉狐を東 …
- PREV
- 鈴々舎馬風(四代目)暑さに負けるな
- NEXT
- 春風亭柳枝(八代目)二人癖(ににんぐせ・のめる