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桂米朝(三代目)天狗さし

   

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京都で明治の初め頃まで「念仏ざし」という物差しを売っていた店がありました。
甚兵衛さんの所へ、金儲けの相談に男が来る。
男は世の中には無駄なことが多すぎると言う。

餅をつく時、臼に杵を振り下げて餅をついた後、杵を振り上げる。
この振り上げる力が無駄だから、上にも臼を置いたら上下両方で餅がつけるという。

上に置いた餅は落ちてくるがそれをどうやって止めるのかと甚兵衛さんが聞くと、男は「それをあんたに相談に来た」という。
この男はこの前も10円札を9円で仕入れて11円で売って儲けるなんてことを考えるけったいな奴だ。

今日はまともな金儲けの話で相談に来たという。
食い物屋を始めようと、堺筋の八幡筋の西へ入った北側の店に手金まで打ってきたというので、今度ははっきりした話のようだと甚兵衛さんがどんな商売を始めるつもりか聞くと、すきやき屋、それも「てんすき屋」だ。

なんと「天狗のすきやき屋」だという。
鼻の高い大天狗の手下のカラス天狗を捕まえてきてすきやきにすれば珍しがって流行るだろうという魂胆だ。

甚兵衛さんが、「流行るやろけど、その天狗をどっから仕入れるねん」と聞くと、

「それをあんたに相談に来たんや」 甚兵衛さんが天狗で一番有名なのは鞍馬山で、奥の院の大杉の所に夜、天狗が降りてきて羽を休めるてな話を聞いたことがあるというと、男は早速、青竹、トリモチ、縄まで用意して「鳥さし」ならぬ「天狗さし」に鞍馬山へ出かける。

奥の院に着いた時にはもう真っ暗でヘトヘト。
天狗が羽を休めるという大杉に寄りかかって待っているうちに眠気がさしウトウト。
夜も更けて、深夜の行を終えた坊さんが奥の院の扉を開けて出てきた。
扉の開く音で目を覚ました男、見ると階段を何かが降りている。
そこへ一陣の風、坊さんの赤い衣が大きくひるがえった。
これが坊さんの災難だった。

男はてっきり赤い羽の大天狗と思い、竹で坊さんの足を払い、手拭でさるぐつわをかませ、縄でふん縛り、竹へ坊さんを通して山をドンドン下り出した。
京の町へ出た頃には夜も明けてきた。

早起きの町の人が坊さんがさるぐつわをかまされ、竹に宙吊りにされたまま通るのを見てびっくりして何事かと男に聞く。
男はここでは喋れない、10日ほどたってから大阪の堺筋、八幡筋、西へ入った北側の間口が二間半の店へ来いとわけの分からん事を言って通り過ぎて行く。

すると向うから大きな青竹を10本ばかり担いでやって来る奴がある。
男はもう真似する奴が現れて天狗を捕まえに行くとのだと思い、商売仇を呼び止める。

竹を持った男 「なんじゃ、わしのことか」

男 「お前も鞍馬の天狗さしか」

竹を持った男 「いやあ、わしは五条の念仏ざしじゃ」

 

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 - 桂米朝(三代目)

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