【落語チャンネル】ネット寄席

落語動画・音声まとめデータベース/世界に誇る日本の伝統芸能 落語ワールドをご堪能下さい

*

桂枝雀(二代目)次の御用日

      2019/06/25

Sponsored Link

次の御用日(つぎのごようび)は上方落語の演目の一つ。
江戸落語では「しゃっくり政談」や「しゃっくり裁判」という名で演じられる。

あらすじ

丁稚・常吉がお昼を食べているところへ主人・堅気屋佐兵衛がやってきた。
旦那の一人娘・いとが縫い物の稽古に行くお供をしてほしいと言うのである。

大勢の丁稚がいる中で、いとが常吉を指名したのだという。
不平を言いながら昼食を中断して外へ出た常吉。

だが内心は、とおやん (船場言葉で「お嬢さん」) の指名を受けたのが嬉しい。
二人はてくてく歩いて住友の浜までやって来た。

ここは日中でも人通りが少なく、子供には心細い場所。
向こうから背の高い男が歩いてきた。

「怖い」と帰りたがるいとを用水桶の蔭に隠れさせ、その上に覆い被さって男をやり過ごそうと、常吉も子供心に一生懸命だ。
歩いてきた男は、佐兵衛の借家に住むろくでなし・天王寺屋藤吉。

暑いので着ていた法被を頭の上にかざし日除けにして歩いていたのが大男に見えたのだった。
家主の娘と丁稚が自分の格好を怖がっていることに気付いた藤吉は、面白がって二人に近づくと法被を覆い被せて「アッ!!」と叫ぶ。

かわいそうに、いとはその場で気を失って倒れてしまう。
大慌てで店に戻って事情を説明した常吉。

店の者がいとを連れて帰って医者に見せ、何とか息だけは吹き返したが、ショックが大きかったようで記憶喪失になってしまった。
一人娘を記憶喪失にさせられた佐兵衛、諦められず西の番所へ訴えを出す。

見たこともない訴状の内容に困惑した奉行だが、常吉の話を聴いて、これを被告・藤吉に問い質す。

「先月十三日、娘いと頭の上にて……『アッ!』と申したであろう」ところが藤吉は「とおやんの頭の上で『アッ!』と申したもんなら『アッ!』と申したと申しますが『アッ!』と申さんものは『アッ!』と申さんと申すより、いたしかたございません」
と白を切る。

「おのれ!『アッ!』と申しておきながら『アッ!』と申さぬなどとは不届きな。『アッ!』と申したものなら『アッ!』と申したと申してしまえ!」

「いかほど申されても、わたくし『アッ!』と申したもんなら『アッ!』と申したと申しますが『アッ!』と申さんものは『アッ!』と申さんと申すよりいたしかたございません」

「おのれ!!『アッ!』と申しておきながら『アッ!』アッ!アッ!アッ!」

とうとう喉が潰れてしまった奉行

「一同、次の御用日を待て」

付記

商家の旦那、娘、丁稚、ごろつき、奉行とさまざまな身分のキャラクターを演じ分け、さらに終盤に「アッ!」という叫び声を連発するために技量や体力の必要な演目である。なにしろ奉行が喉を潰すまでに言ったおよそ倍の数、噺家は「アッ!」と言わなければならない。
6代目笑福亭松鶴や2代目桂枝雀らが得意としていた。現在では松鶴の弟子である3代目笑福亭仁鶴がよく高座に掛けている。
2代目桂枝雀は、奉行が奇声を発しているうちに恥かしくなって「本日の裁きはなかったことにしてくれ」と言う、というサゲに変えている。

娘「いと」は人情噺が少ない上方落語では珍しい「かわいそうな娘」のキャラクターである。
NHK連続テレビ小説「ちりとてちん」(2007年10月~2008年3月)では、気鋭の落語家・徒然亭草々の理想の女性像として紹介されている。
また、草々が思いを寄せた和田清海 (A子) にストーカー行為をした男は、「藤吉」(ふじよし) という名前であった。

「住友の浜」は現在の大阪市中央区島之内1丁目、長堀通沿い。当時ここには住友家の邸宅があったのでそう呼ばれた。
架空の商家「堅気屋」のあった安堂寺町(現在の大阪市中央区安堂寺町)とは近い距離だが、末吉橋(東横堀川)・安綿橋(長堀川)と二つの橋を渡る必要があった。
現在では長堀川は埋め立てられ、安綿橋は存在しない。また旧住友邸は現在、三井住友銀行の大阪事務センターとなっている。
大阪のオフィス街の真っ只中になっている土地ではあるが、江戸時代には日中でも人通りのない、薄気味悪い場所だったのである。

Sponsored Link

 - 桂枝雀(二代目) , ,

[PR]

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

  関連記事

■桂枝雀(二代目)兵庫船(兵庫舟)

兵庫船(ひょうごふね)は古典落語の演目のひとつ。 原話は、文化年間に出版された笑 …

桂枝雀(二代目)貧乏神
桂枝雀(二代目)さくらんぼ(頭山・あたま山) 超貴重な音源

頭山(あたまやま)は落語の演目の一つ。「頭山」は江戸落語での名称で、上方落語では …

桂枝雀(二代目)ちしゃ医者

ちしゃ医者(ちしゃいしゃ)は、上方落語の演目の一つ。 源話は噺本『太郎花』(寛政 …

■桂枝雀(二代目)持参金

持参金(じさんきん)は、落語の演目の一つ。落語によくある、結婚がらみの話ではある …

桂枝雀(二代目)戻り井戸

あらすじ ある男が気がつくと井戸の中にいる。 何が起こったのか判らないまま助けを …

桂枝雀(二代目)九日目

あらすじ あちらこちらに声をかけ「何か手伝いは?」用事を言い付かってその日を暮ら …

桂枝雀(二代目)恨み酒

あらすじ 開店前の飲み屋に入って来た男、 「何年も前に来たが、酒も肴もおいしかっ …

桂枝雀(二代目)八五郎坊主

あらすじ 八五郎が甚兵衛はんに 「もし、『つまらん奴は坊主になれ。』ていいまっけ …

■桂枝雀(二代目)仔猫

あらすじ おなべという女子衆(下女)が勤めにやってくる。器量は良くないのだが働き …