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★古今亭志ん生(五代目)付き馬(早桶屋/吉原風景)

   

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付き馬(つきうま)は、古典落語の演目の一つ。
原話は元禄5年(1692年)に出版された笑話本・「噺かのこ」の第四巻、「薬屋にて人参を騙りし事」。
別題は「早桶屋」。『廓話』の一つであり、その構成から『泥棒噺』の要素も兼ねている。
主な演者には8代目三笑亭可楽、5代目古今亭志ん生、5代目春風亭柳朝、7代目立川談志などがいる。

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あらすじ

吉原のとある店の前で、考え込んでいる男が一人。
気になった若い衆が声をかけると、こんな返事が返ってきた。

「叔母の代わりに、吉原(なか)の店にかけ取りに来たんだけどね。明日まで待ってくれって言われたんだよ」

男の家は遠方にあり、今から帰って出直すのはバカバカしい。それよりは、ここで一晩を過ごし、翌朝かけ取りに行ったほうが合理的…と思ったのだが、あいに くお金を持ってきていない。

「で、相談があるんだよ。ほら、『田楽の 串で小判の 封を切り』なんていう川柳があるだろ?掛け取りしたお金で支払いするからさ、一晩私を遊ばせてくれないかな?」

帳場が了解したため、男は登楼してどんちゃん騒ぎを開始。
翌朝、男が顔を洗っていると、昨夜の若い衆が代金を取りにやってきた。

「じゃあ、昨夜の約束通りにお金を支払うことにするよ。これから取りに行くから、ついて来てくれないかな?」

店を出た男は、若い衆を伴って銭湯へ行き、定食屋で一杯やりつつ朝ごはん。
その代金をすべて若い衆に建て替えさせたため、若い衆はだんだん不穏な気持ちになってくる。
しかも、知らない間に大門の外へ出ていたため、とうとう若い衆が文句を言いだした。

「大丈夫だよ。ここの近所に伯父さんがいるから、お金を借りて支払いを済ませてしまうから」
田原町まで来た男は、一件の早桶屋(葬儀社)を指さして「あれが伯父さんの家だ」。
もちろん、この早桶屋は男とは無関係。

付き馬と悟られないためといい、若い衆を待たせて早桶屋に入った男は、店の主を呼び足すとこんな話をし始めた。

「(小声で)通りの向こうに男がいるでしょ、あいつの兄貴が昨夜なくなりましてね。
急に早桶が必要になったのですが、(大声で)何とかこしらえていただけませんでしょうか?
(また小声で)晴れの病で死んだんでね、図抜け大一番小判型なんていうものすごい奴が必要になりましてね、
(大声で)何とか一つお願い…え、大丈夫ですか!? おーい、なんとかしてくれると言ってるぞ!」

こんなかんじて、早桶屋の主には【早桶の注文】、若い衆には【借金の相談】だと思わせることに成功した男は、若い衆を主に引き合わせると「用事があるから」と言って姿を消した。

お金を持ってくるのかと思い待っていると、風呂おけ並みの馬鹿でかい早桶が出てきたため若い衆は仰天。
話の末、二人ともだまされたと気づくがもう後の祭り。そのまま口論になり、主が

「こんな早桶はよそには回せねえ。手間賃はともかく、早桶の材料費は置いていけ」

若い衆が、有り金すべてさっきの男に使われたことを告げると、主が怒って

「おい奴、吉原まで付き馬に行け!!」

▼概要
遊郭の従業員が詐欺にあう話。
もともと、薬屋で朝鮮人参をだまし取るという内容だったものが、よりスリルを求めたのかこのような内容に変化した。
見どころは若い衆を引っ掛ける男の弁舌。

あらかじめ「あいつ(若い衆)は兄貴が死んで混乱しているから、変なことを言いかねない」と吹き込まれていた早桶屋の主が、若い衆と頓珍漢な会話を繰り広げるあたりは笑いを誘う。

▼付き馬について
吉原遊郭へはたいていの人が徒歩で向かったが、町のはずれにあるため船、駕篭、まれには馬に乗ってゆく人がいた。
吉原の遊郭で持ち金以上に遊んでしまった客がいた場合、馬子が掛け取りに行った。

しかし、持ちなれない大金を持った馬子が、出来心でそれを盗んでしまう事件が続出。
廓の従業員がそれを代行するようになる。
その名残で『馬』という名前が残ったというわけ。

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 - 古今亭志ん生(五代目)

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