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柳家小さん(五代目) 浮世根問

   

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浮世根問(うきよねどい)は古典落語の演目の一つ。元々は上方落語の演目である。原話は、安永5(1776)年に刊行された『鳥の町』の一遍である
「根問」

主な演者には、4代目柳家小さんやその弟子である5代目柳家小さんなどがいる。

あらすじ

お子さんは親に「なんで?なんで?……」と聞くもので、そうやって成長していくものです。しかし大人が根掘り葉掘り聞いて、相手が詰まるのをおもしろがって見ているというのがあります。

八っつあんが隠居を訪ねてきた。
「こんにちは……御前はまだですか」

「これからなんだ」

「では失礼をして上がらして貰います」

「普通だったら、時分時だからと帰るものだが……」

「三度に一度はこちらでいただくことにしていますから……」
「それより、何か話題は無いのかぃ」

「隠居さんは本を読みますが、何か良いことでもありますか」

「世の中が明るくなる」

「電気がいらなくなる?」

「八っつあんの知らないようなことでも、分かるようになる」

「では教えてください」

「友達が集まったとき、冬の寒いときはボロでも着れば良いが、夏の暑い時は裸で出歩くことが出来ない。どうしたら良いか聞いたら、『お天道様に』掛け合えばイイと言うが、そのお天道様はどこに居ると言ったら、みんなが笑っていた」

「当たり前だよ。昔面白い話が有って『お天道様に会いたいと言って、山の向こうに沈んだら、そこに居るだろうと、山にあがったら、日が暮れて、向の山まで登ってひたすら歩いたら、後ろの方からお日様が上がってきた。その男は、『しまった行き過ぎた』と言った。その男とお前は同じだ。何か解んないことが有ったら聞いてごらんよ」

「表の伊勢屋さんで婚礼があるのですが、あの婚礼って言う物をよく『嫁入り』と言うじゃないですか?あれは何でです?『女入り』とか『娘入り』とか言えば良いじゃ無いですか」

「それで良いんだ。男に目が二つ、女に目が二つ。それが一緒になるから『四目入り』だ。これは目の子勘定だ」

「丹下左膳や森の石松が結婚したら『三目入り』だ。按摩さんだったら『二目入り』で、両者が按摩だったら『泣き寝入り』。ヤツメウナギが婚礼すると『十六目入り』だ」

「そんな事は言わない」

「では、『奥さん』はどうして、その呼び方になった?」

「奥の方でお産をするから『奥産』だ」

「つまんない事聞いちゃったな。じゃ二階でお産したら『二階産』で、ビルの5階でお産すれば『五階産』、はばかりでお産をしたら『厠(こうや)産』。『五階産』(ご開山)で『高野産』(高野山)で弘法大師……」

「ウルサいよ」

「家の奴は奥さんではなく、かかぁと言うのは?」

「あれは家から出て家へ納まるから「家々」と書いて『かか』だ」

「納まらないのだって居るだろ~。戻ってきて、また行って、また戻ってきて行くのは『家家家かぁ』だな」

「それじゃ~、カラスだ」

「婚礼の席に行くといろんなものが飾ってあるが、爺さんとお婆さんがホウキと熊手を持っているのは……」

「蓬莱の島台だな。『お前百までわしゃ九十九まで共に白髪の生えるまで』、夫婦仲良く添い遂げると言うものだな」

「鶴とか亀も飾ってありますよ」

「『鶴は千年亀は万年の齢を保つ』、これも長生きな動物だ。そのように言われているな」

「隣の金坊が縁日で亀を買ってきたら、翌日死んじゃった」

「それが丁度、万年目に当たる」

「何で飾るのかね」

「鶴は夫婦仲が良い、子供を大事にする。亀は辛抱強い。夫婦もそうでなくてはいけない」

「松や竹等が飾ってありますね」

「あれは松竹梅と言いなさい。梅の実は女の気性を現したものだな。梅の実も沢山なる、子供も沢山産んで、夫を好い(スイ)て、心変わりはありません。『しわの寄るまであの梅の実は味も変わらずスイのまま』という都々逸がある」

「梅干し婆さんというのはここから始まったんだな」

「で、竹は?」

「竹は男の気性だな。『竹ならば割って見せたい私の心先に届かぬ不幸せ』なんていう都々逸がある」

「松は?」

「『松の双葉はあやかりものよ枯れて落ちても夫婦連れ』という都々逸がある」

「都々逸ばっかりだな」

「夫婦は枯れて落ちる事はないが、貧乏しても、大変なときも決して別れない、と言う事だ」

「鶴亀というのも、やはり死ぬんでしょうね」

「生ある物は死ぬな。ああいうのは『死ぬ』とは言わない。魚類が『上がる』、鳥類が『落ちる』だ。人間でも身分によって差があり、例えばお釈迦様の場合は『涅槃(ねはん)』、偉い坊さんは『入寂(にゅうじゃく)、入滅(にゅうめつ)』、高貴な方が『御崩御(ごほうぎょ)、御他界(ごたかい)』で、その下が『御逝去、御死去』だ」

「あっしが死んだら、御逝去だね」

「お前が死んだら、『ごねた、くたばった』、だ」

「鶴亀が上がったり、落ちたりしたらどうなりますかね」

「お前は鶴亀が先年万年後を聞いてどうするんだ」

「食事が出るまで頑張ろうと思っています」

「やな野郎だな。鶴亀は気立てが良いから極楽にでも行くかな」

「ところで、極楽は何処に有るんです」

「十万億土だ、西方弥陀の浄土だ」

「西の果てのはるか遠く……ってどこです?」

「西の方だな」

「高円寺から荻窪?」

「ずっと西の方だ」

八っつあんのペースになった

「西というと?」

「大変だ」

「大変だと?」

「うん……心配するな。有るから」

「心配はしていませんが……」

「うん……、もうお前お帰り」

「膳の出るまで頑張りますから」

「お前みたいに根掘り葉掘り聞く奴は極楽に行けないな。地獄の方だ」

「地獄ね……その地獄は何処に有るんですか」

「ちゃんと有るよ」

「何処に?」

「極楽の隣にある」

「じゃ~、極楽は何処に?」

「地獄の隣だ」

「じゃ~、地獄は?」

「……ウルサいな。根掘り葉掘り聞くから困る。岩田の旦那がこぼしていた。『お前に50銭取られたと怒っていた』」

「あれは取ったんじゃない、貰ったんですよ。岩田の隠居も本をよく読むから聞いた。宇宙はどんな物なんです、と尋ねたら

『夜空を見てみろ、星が出ているあれが宇宙だ』と言うから、飛行機でブーンと飛んだらどこへ行くでしょう?と聞いた。

『行けども行けども宇宙だ』と言うので、なおもブーンと飛んだら何処に行きますか、と聞いたら、『行けども行けども宇宙だ』と言うのを、30分やっていたら顔が青くなってきて

『その先は朦々(もうもう)だ』と言うから、そんな牛の鳴き声みてえな所は驚かねえ。そこんところをブーンと飛んだら?それを40分やっていたら

『そこから先は飛行機がくっついて飛べない』

そんな蠅取り紙のような所は驚かねえ。そこんところをブーンと飛んだらと言ったら、ついに降参、五十銭くれた。取ったんじゃない、貰ったんだ。おまえさんも、地獄と極楽が答えられなかったら五十銭出すかい?」

「そんなもの出してたまるか」

「じゃ~、地獄は何処に有る」

「極楽を見せるからこちらに来な。ここに座わんなさい」

「ここは仏壇じゃないですか」

「ここが極楽だ」

「極楽は蓮の花があり、木魚や鐘の音楽が鳴るでしょ」

「こしらえ物だけれど、蓮の花が上がって、線香の煙が紫の雲だ。音楽は鉦も有れば木琴もある」

「じゃ~、死ねばみんなここに来て仏になるんですか」

「そう。みんなここに来て仏になれる」

「じゃ~、鶴亀も死ねば仏様になるんですか?」

「いや、鶴亀は仏にはなれない」

「じゃ~、何になるんですか?」

「ご覧なさい、この通り蝋燭立になっている」

[出典:http://rakugonobutai.web.fc2.com/141ukiyonedoi/ukiyonedoi.html]

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