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■露の五郎兵衛(二代目)うなぎ屋(鰻屋)

   

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新しく開業した鰻屋の主人が、上手に鰻を捌けないどころかつかむこともできずに四苦八苦している。それを聞いた若い者二人が「おっさん、鰻ようつかまえんと困ってるの肴に一杯飲んだろ」とやってくる。
「どの鰻にしまひょ」「そやなあ。あ。あの鰻でかくて油乗ってそうや。あれしてんか」
「……あ、あれでっか。あれはあきまへん」
「何でや」
「さあ、店開いたときからいてよりまんねん。額に傷おまっしゃろ。あれ『光秀鰻』いうて、主人に害をなす……」
「あほなこといいないな。浄瑠璃の『太功記十段目』みたいなこというとる」
「どっちかやったらあこの、腹浮かべてよるのなんかどないだす。すぐに作れまっせ」
「あほ言いやがれ、あれ死んでるやないか」
仕方なく主人は注文された通り、鰻を捕まえようとするがなかなかうまいこといかない。
「……こないしまっしゃろ……ソオレ! ……あ、逃げた」
「これ、逃がしたらあかんやないか」
主人は前に出る鰻を捕まえながら表に出てしまう。
「だれぞ、下駄出してんか」
「あれ! おやっさん、表出て行ったで」
そこへ帰ってきた女房
「もし、うちの人はどこぞにいきました」
「おやっさん。鰻つかんで表出てしもたで」
「ええっ! またでっかいな! あの人この前もおんなじことして、堺から和歌山まで行ってしもたんだっせ」
「そら、何するのや」
ようよう主人が鰻と格闘しながら帰ってくる。

「おいおい。町内一回りしてきよったで。おやっさ~ん! こっちや! こっちや! ……あ、店の前行き過ぎよった……おやっさん。どこへ行くねん」

「前ぇまわって、鰻に聞いてくれ」

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