古今亭今輔 (五代目)藁人形
あらすじ
神田のぬか問屋「遠州屋」の美人で一人娘お熊は今は身を持ち崩して、千住の若松で板頭を張っている。
毎日、表を通る千住河原町(志ん生は、千住のいろは長屋への九番)に住む西念と言う乞食坊主を父親の命日だから供養してくれと呼び込み、部屋に上げ親切にしてあげる。
父親に生き写しだから、父親代わりに親孝行をしたいとの話。
「出物の家があるのだが、西念さんと一緒に住みたいので、内金を打ちたいが、旦那が旅に出ていて当座の金がない。手頃な家なのだが、このままでは次の買い手が付いてしまう。何とかしたいが私も持ち合わせがないので諦めてくれ」、との話。
西念は「私が何とかしますから」と言う事で、隠し貯めた全財産30両をお熊に渡してしまう。
西念は身体をこわし外に出られなくて小銭が無くなった。
お熊の所に行って1分(1/4両)を無心したが断られた。
「30両はもらった金なので、西念には何もしてあげられないし、あれは西念の持ち金を取り上げられるかどうか、仲間と掛けして私が勝ったのさ」とうそぶくお熊であった。
西念は初めて語り取られた事に気が付いた。
むしゃぶりつくが若い衆が駆けつけて、七十の歳を越えた身体に怪我までさせて、追い返してしまう、お熊であった。
絶望して長屋に帰った西念は外にも出ずに過ごすのを長屋の住民も心配していると、甥の甚吉が訪ねて来た。
「誰だ」
「豊島町の甚吉だ」。
中に入ると西念が一人憑かれたようにいた。
「これからは俺が面倒見てやるからな」。
話の途中で小用に立つ西念が「鍋の中だけは見るな」と言付けた。
見るなと言われれば見たいのが人情、鍋の中は藁人形を油で煮ていた。
そこに戻った西念が蓋が曲がっているから見ただろうと、問い詰め
「そうか。俺はクヤシイ。これで呪いが効かなくなった」と肩を落として、甚吉に一部始終語った。
甚吉は呪いをかけるなら5寸釘に藁人形だろうと言うと、
「釘じゃーきかねーんだ。あいつはぬか屋の娘だ」。
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