【落語チャンネル】ネット寄席

落語動画・音声まとめデータベース/世界に誇る日本の伝統芸能 落語ワールドをご堪能下さい

*

三遊亭金馬(三代目)夢金

      2018/12/13

Sponsored Link

山谷堀の吉田屋という船宿。
そこの船頭・熊五郎は、このところ毎晩のように超現実的な寝言をうなっている。

「金が欲しいな。二十両欲しい。だれかくれぇ」

ある夜、いつものように熊の「金くれえ」が始まったころ合いに、門口で大声で案内を乞う者がある。
亭主が出てみると、年のころは三十ばかり、赤羽二重の黒紋の羽織、献上博多の帯のぼろぼろになったのを着た侍が、お召し縮緬の小袖に蝦夷錦の帯を締め、小紋の羽織、文金高島田しとやかにお高祖頭巾をかぶった十六、七の娘を連れて、雪の中を素足で立っている。

話を聞くと、今日妹を連れて芝居見物に行ったが、遅くなり、この雪の中を難渋しているので、大橋まで屋根舟を一艘仕立ててもらいたいという。
今、船頭は相変わらず「二十両くれえ」とやっている熊五郎しかいない。

「大変に欲張りなやつですから、酒手の無心でもするとお気の毒ですので」
と断っても「かまわない」と言うので、急いで熊を起こして支度をさせる。

舟はまもなく大川の中へ。
酒手の約束につられてしぶしぶ起きだした熊五郎、出がけにグイっとあおってきたものの、雪の中。
寒さにブルブル震えながら漕いでいる。

娘の顔をちらちら見て
「こいつら兄妹じゃねえな」と踏んだが、まあ何にしろ「早くゼニをくれればいい、酒手をくれ、早く一分くれ」
と独り言を言っていると、侍が舟の障子をガラリと開け
「おい、船頭。ちょっと止めろ。貴様に話がある」
女は寝入っている。

「この娘は実は妹ではなく、今日吉原土手のところで犬に取り巻かれて難儀していたのを助けてやったもの。
介抱しながら懐に手を入れると、大枚二百両を持っていたから、これからこの女をさんざんなぐさんだ上金をとってぶち殺すので手伝え」という。

熊が仰天して断ると「大事を明かした上は命はもらう」とすごむ。

「それじゃあ、いくらおくんなさいます」

「さすがは欲深いその方。震えながらも値を決めるのは感心だ。二両でどうだ」

「冗談言っちゃいけねえ。二両ばかりの目くされ金で、大事な首がかけられるけえ。山分け、百両でどうでやす。イヤなら舟を引っくり返してやる」

とにかく話がまとまった。

舟中でやるのは証拠が残るからと言って中洲まで漕ぎつけ、侍が先に上がったところをいっぱいに棹を突っ張り、舟を出す。

「ざまあみろ。土左衛門になりゃあがれ」これから娘を親元である本町三丁目の糸屋林蔵に届け、二十両の礼金をせしめる。

思わず金を握りしめた瞬間

「あちいッ」

夢から覚めると熊、おのれの熱いキンを握っていた。

Sponsored Link

 - 三遊亭金馬(三代目)

[PR]

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

  関連記事

三遊亭金馬(三代目) 堪忍袋

原作者は、三井財閥の一族である劇作家・評論家の益田太郎冠者。 主な演者として、東 …

三遊亭金馬(三代目)七の字

長屋に住んでいたグズ七と呼ばれていた七兵衛さん、仲間から助けられ生活していたが、 …

■三遊亭金馬(三代目)薮入り

藪入り かくばかり偽り多き世の中に子のかわいさは真なりけり」「立てば這え這えば歩 …

三遊亭金馬(三代目)  高田馬場

あらすじ 春の盛りの浅草・奥山。 見世物や大道芸人がずらりと並び、にぎやかな人だ …

三遊亭金馬(三代目)てれすこ

てれすことは、落語の演目の一つで、そのストーリーに登場する架空の生物の種名。魚類 …

三遊亭金馬(三代目)寄合酒(寄り合い酒)

あらすじ 特級酒を二本貰ったからみんなで飲もう。 銭を集めて肴を買おうとしたが、 …

三遊亭金馬(三代目)二十四孝(にじゅうしこう)

あらすじ 江戸のとある町に住む男(八五郎)は、たいへんな大酒飲みで、また同居して …

三遊亭金馬(三代目) 転宅

転宅(てんたく)は古典落語の演目の一つ。 原話は、天明8年(1703年)に出版さ …

三遊亭金馬(三代目)雑俳

あらすじ 長屋の八五郎が、横町の隠居の所に遊びに行くと、このごろ雑俳に凝っている …

三遊亭金馬(三代目) 山崎屋

山崎屋の若旦那が、通い番頭に、帳簿をごまかして百両貸してくれと頼むが、転んだら石 …