★金原亭馬生(十代目)ざる屋(ざるや)
2022/06/07
縁起担ぎのお噺です。元は上方ネタで、上方では「米揚げいかき」の題で演じられます。大阪弁の「いかき」とは、東京での「ざる」の事です。大坂の初代桂文團治師の作と伝わり、東京では、八代目の桂文治師が演じ、それが、十代、十一代の金原亭馬生師に受け継がれている他、本家の上方では、三代目桂米朝師、六代目笑福亭松鶴師から、若手に伝授されています。
[出典:3分で読める!「落語に見るオモシロ江戸風俗」]
縁起担ぎはどこにもいるものです。
ざる屋の吉兵衛さんの所に手紙を持った男がやって来た。ざるの売り子を頼んであったので、貴方がその売り子さんになる方ですね。ということで、これからざるを売りに出る事になった。大きいざるが5円、小さいざるが3円50銭、売り声は普通「ざる屋ァ~味噌漉し」と売りますが、縁起を担いで「米が上がる、米上げざる」と売っていた。店の中で売り声をあげて、外に出たが店の前で売り声を上げる変わり者であった。街中に出ると声が掛かった。番頭さんからで、「家の旦那は株をやってて、上がると言う言葉が大好きだから気を付ければご祝儀が出るけど、下がる潰れると言うとポカッと頭を殴られるよ」と注意を受けて店に入っていった。
主人「暖簾があるから気を付けて」、
ざる屋「暖簾ぐらい跳ね上げてしまいます」、「うれしいね。跳ね上げるか」。
「荷物は商売ものだから上に揚げさせて貰います」、「うれしいね。揚げておくれ」。
「仕事のじゃまをしているんだから」とご祝儀を渡される、「ホントですか。天にも昇るようです」、「うれしいね。では、もう一枚。貴方みたいな人にはちょくちょく遊びに来てほしいね。で、どこにお住まいか」、
「上野です」、「下谷と言わないで上野か。もう一枚あげよう。上野はどのへんだい」、「高台です」、「桜木町辺りかぃ。で、お名前は」、「上田登です」、「良い名前だ。もう一枚差し上げよう。酒の用意をしなさい。貴方は飲めるんでしょ」、「あっちに上がり、こっちに上がる、ハシゴで、だんだん上がるんです」、
「財布ごとあげましょう。この財布には大分入っているがどう使います」、「さっと御茶屋に上がって、芸者、幇間を揚げて踊りを踊ります『♪上がる、上がる~』」、
「金庫ごと持って来い」。
[出典:落語の舞台を歩く:http://ginjo.fc2web.com/index.htm]
[PR]
こちらの演目もどうぞ
関連記事
-
-
★金原亭馬生(十代目)白ざつま(菊江の仏壇)
1967年(昭和42年)録音 菊江の仏壇(きくえのぶつだん)上方では菊江仏壇(き …
-
-
★金原亭馬生(十代目)抜け雀
あらすじ 小田原宿に現れた若い男、色白で肥えているが、風体はというと、黒羽二重は …
-
-
★金原亭馬生(十代目)目黒のさんま
【落語】_金原亭馬生(十代目)_目黒のさんま あらすじ 秋の遠乗りで、中目黒に出 …
-
-
★金原亭馬生(十代目)お富与三郎~与話情浮名横櫛(島抜け)
美男美女に生まれて災いを残しましたお富と与三郎。木更津の親分赤間源左衛門の妾・お …
-
-
★金原亭馬生(十代目)明烏
落語 「明烏」 金原亭馬生
-
-
★金原亭馬生(十代目)真景累ヶ淵(豊志賀の死)
1981年(昭和56年)12月22日 東邦生命ホールにて収録
-
-
★金原亭馬生(十代目)干物箱
干物箱(ひものばこ)は古典落語の演目の一つ。 原話は、延享4年(1747年)に出 …